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トランプ氏政策巡りインフレへの影響を懸念=FOMC議事要旨

2025年02月20日(木)07時50分

米連邦準備理事会(FRB)が19日公表した1月28─29日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、参加者全員が目標金利の据え置きが適切だと認識していたことが分かった。2013年7月撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)

Howard Schneider Ann Saphir

[ワシントン 19日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が19日公表した1月28─29日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、参加者全員が目標金利の据え置きが適切だと認識していたことが分かった。

また、一部の参加者は、トランプ新政権による貿易や移民政策の変更がインフレ抑制のプロセスを妨げる可能性があると指摘した。

FOMC参加者は「概ねインフレの見通しに対して上振れリスクを指摘した」とし、「特に貿易や移民政策の変更や、国際情勢の変化に伴う供給網混乱の可能性、予想を上回る家計支出による影響を挙げた」という。

物価上昇は引き続き緩やかになるとの見方を維持する一方で、「インフレ鈍化のプロセスを妨げる可能性のある要因も挙げられた」とし、要因として「(FRBの)複数の管轄地区の関係者が、企業は関税によって原材料費が上昇すれば消費者に転嫁しようとすると示唆した」と言及した。インフレ期待に関わる一部の指標が「最近上昇した」とも指摘した。

議事要旨公表後、アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、トランプ政権の輸入関税や移民規制の強化などの政策の影響を巡る不透明感が出ていることで、好調なスタートを切った今年の経済見通しに対する信頼感が低下しているとの見方を示した。

オックスフォード・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「早期の利下げがないことは議事要旨から明らかで、FRBは関税問題が落ち着くまで待ってから、より良いフォワードガイダンスを提供する見通しだ」と語った。

「議事要旨は、FRBが今年は慎重になり、12月に1回のみ利下げを実施するというわれわれの基本予測の最近の変更を裏付けている」とも述べた。

FRB当局者は2024年12月のFOMCで、第2次トランプ政権が発足したという「仮の想定」に基づき、成長鈍化と物価上昇が見込まれるとしていた。トランプ氏は就任後、カナダとメキシコに対する25%の関税提案や、メキシコとの国境の不法移民取り締まり強化などの詳細を明らかにしている。

25年1月のFOMCで政策立案者は、24年半ば以降ほぼ停滞しているインフレ率が、中銀目標の2%まで確実に低下することが明らかになるまでは金利を据え置くべきだと合意した。

目標に向けた低下が確実になるまで利下げを急ぐつもりはないとしており、トランプ氏の政策の影響を理解することが議論の中心的な部分となっている。

議事要旨によると、複数の政策立案者が、連邦債務の上限に関する状況を踏まえて、FRBのバランスシート縮小を減速または一時停止することの検討が適切である可能性があると指摘した。

連邦政府の資金は3月14日以降には底をつく可能性があり、夏までに債務上限引き上げの措置を講じなければ、デフォルト(債務不履行)のリスクが生じる。

FRB当局者は1月の会合で、FRBの政策枠組みの見直しに着手した。見直しには、政策金利がゼロに近い水準にある場合の経済へのリスクに焦点を当てた声明文の修正の可能性も含まれる。FRBはインフレ目標2%、最大限の雇用達成へのコミットメントを変更しないことも明確にした。見直しは夏の終わり頃までに完了する見込みとなっている。

議事要旨の発表を受けて、金利先物市場ではFRBによる25年の最初の利下げは7月で、年内の利下げはその1回だけになるとみられている。

ロイター
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