米小売売上高、1月は0.9%減 山火事や寒波で約2年ぶりの大幅減
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米商務省が14日発表した1月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.9%減少した。写真は2021年11月、米ペンシルベニア州で撮影(2025年 ロイター/Rachel Wisniewski)
Lucia Mutikani
[ワシントン 14日 ロイター] - 米商務省が14日発表した1月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.9%減少した。厳しい寒波や西部カリフォルニア州で発生した大規模な山火事などが響き、2023年3月以来の大きな減少となった。第1・四半期初めに米国の経済成長が急激に減速した可能性がある。
エコノミスト予想は0.1%減。昨年12月は0.7%増に上方改定された。1月は前年比では4.2%増加した。
売上高の落ち込みは広範囲に及んだ。エコノミストは、輸入関税による物価上昇と不透明な経済見通しが、消費者に財布のひもを締めさせていると推測している。関税で商品の価格が上昇するとの見通しから先回り買いが先行したことで、ここ数カ月は小売売上高が伸びたが、消費者心理は悪化している。
<FRB利下げ休止見通しは変わらず>
INGの主任国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「おそらく人々は関税の話に混乱し、関税がすぐに適用されると考え、購入を検討すらしていないのだろう。これがより慎重な消費行動の始まりなのか、それとも単に天候に関連した反動なのかを知るには、2月のデータを待つ必要がある」と述べた。
ただ、昨年12月の小売売上高が大きく上方修正されたことで、1月の減少の影響は緩和。年末年始に特有の季節変動要因を除外することは困難なことも踏まえ、連邦準備理事会(FRB)は下半期まで利下げを休止するとの観測は変わっていない。
PNCファナンシャルのシニアエコノミスト、ジェイ・ホーキンス氏は、米国第2位の都市圏であるカリフォルニア州ロサンゼルス近郊で山火事が発生したことや、他の地域が厳しい寒波に見舞われたことで、実際に店舗を訪れる買い物客が減った可能性があると指摘。ネイビー・フェデラル・クレジットユニオンの企業エコノミスト、ロバート・フリック氏は「(1月の)落ち込みは劇的だったが、衝撃を和らげる数点の要因があり、警戒する必要はない」と述べた。
RSM・USのエコノミスト、トゥアン・グエン氏は「経済の基調的な強さはほとんど変わっていない。この力強さが継続すれば、向こう数カ月で小売り売上高は回復する」との見方を示した。
<自動車や建設資材など減少、飲食店は増加>
自動車販売店の売上高は2.8%減少した。12月は0.9%増だった。家具は1.7%減、衣料品小売店は1.2%減少だった。
スポーツ用品、趣味用品、楽器、書店は4.6%急減した。一方、雑貨小売店は0.2%増した。
オンラインストアの売上高は1.9%減少した。サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は0.9%増加した。12月は0.1%の小幅増だった。エコノミストは外食を家計の重要な指標とみなしている。
建築資材は1.3%減少した。氷点下の気温が足かせとなったとみられる。ガソリンスタンドは0.9%増加、電気店は0.7%減少した。
自動車、ガソリン、建築資材、食品サービスを除く小売売上高は0.8%減。12月は0.8%増に上方改定された。