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米PPI、1月前年比3.5%上昇 予想上回る

2025年02月14日(金)03時45分

米労働省が13日発表した1月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比3.5%上昇した。2024年11月撮影(2025年 ロイター/Benoit Tessier)

Lucia Mutikani

[ワシントン 13日 ロイター] - 米労働省が13日発表した1月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比3.5%上昇した。伸びは前月の3.3%から加速し、予想の3.2%も上回った。インフレ加速が裏付けられたことで、連邦準備理事会(FRB)は下半期まで利下げを見送るとの見方が強まる可能性がある。

前月比では0.4%上昇。エコノミスト予想は0.3%上昇だった。昨年12月は0.5%上昇に上方改定された。

ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの主任エコノミスト、カール・ワインバーグ氏は「この数字では、FRBが早期に金利を引き下げるべきという議論は見いだせないだろう。しかし、利上げを議論すると予想する理由もない」と述べた。

一部エコノミストは、トランプ大統領が進める関税措置の発動と不法移民の強制送還が労働力不足と賃金上昇につながり、インフレが一段と上昇する可能性があると指摘している。

PNCファナンシャルのシニアエコノミスト、カート・ランキン氏は、1月の卸売物価指数は「利下げ観測の後退につながるものだった」と指摘。「トランプ政権が引き続き発動を示唆している関税措置で企業全体のコストが押し上げられる」とし、「企業のコストが上昇すれば向こう数カ月で消費者物価に上昇圧力がかかる」と述べた。

<サービス価格0.3%上昇、モノは0.6%上昇>

PPIの上昇はモノとサービス双方でみられた。モノの価格は0.6%上昇。12月は0.5%上昇だった。上昇の半分以上はエネルギー商品価格の1.7%上昇によるものだった。食品価格は1.1%急騰した。食品とエネルギーを除くモノの価格は2カ月連続で0.1%上昇した。

サービス価格は0.3%上昇した。12月は0.5%上昇だった。ホテルなどの宿泊料金の5.7%上昇が、サービス部門の価格上昇の3分の1以上を占めた。

一方、燃料および潤滑油小売業のマージンは9.8%下落した。ポートフォリオ管理手数料は0.4%上昇したが、航空運賃は0.3%下落した。医師の診療費は0.5%下落し、入院医療費は0.3%下落した。

消費者物価指数(CPI)とPPIのデータからエコノミストが推定する1月のコア個人消費支出(PCE)価格指数は0.3%上昇となった。12月は0.2%上昇だった。

コアインフレ率は2.6%上昇と予想されている。12月は2.8%上昇だった。

これについて、パンテオン・マクロエコノミクスの米国チーフエコノミスト、サミュエル・トムズ氏は「FRBはインフレ率が目標とする2%に向けて引き続き進展していると主張できる」との見方を示した。

ロイター
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