貿易収支11月は5カ月連続の赤字、輸出が緩やかな回復基調
財務省が18日発表した11月貿易統計速報によると、貿易収支が1176億円の赤字となった。都内で2017年1月撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 18日 ロイター] - 財務省が18日発表した11月貿易統計速報によると、貿易収支が1176億円の赤字となった。赤字は5カ月連続。ただ、中国やアジア向けの輸出が底堅く推移し、赤字幅の縮小に寄与した。
ロイターがまとめた予測中央値は6889億円の赤字で、これより小幅な赤字にとどまった。赤字幅は前年同月比で85.5%縮小した。
輸出は前年比3.8%増と2カ月連続で増加。もっとも輸出数量は0.1%減と2カ月ぶりの減少になり、交易条件の改善や為替の円安効果を除けば輸出の弱さが浮き彫りになる格好となった。
11月の為替レートは152.83円と、前年同期比で1.7%の円安となった。
輸入は同3.8%減と、8カ月ぶりに減少に転じた。
輸出の内訳は、米国向けが8.0%減の1兆6701億円と、4カ月連続の減少。一方、最大の貿易相手国である中国向けは非鉄金属などが伸びて4.1%増となり、アジア向けは半導体等製造装置が好調で8.9%増となった。
輸出の先行きについては、欧米経済の減速懸念に加え、金融緩和や景気刺激策にもかかわらず停滞感の漂う中国経済など、海外経済に回復の原動力が見当たらないため精彩を欠くとの予想が多い。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査部長は「アジア向けは持ち直しているが、欧米向けが自動車を中心に弱い動き」とリポートで指摘。輸出は全体として横ばい圏で推移しているとし、先行きについても「海外経済の減速が続くことから輸出が景気のけん引役となることは当分期待できない」とした。
*内容を追加しました。
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