欧米自動車メーカー格下げも、トランプ関税発動なら17%減益=S&P
S&Pグローバルは29日に発表したリポートで、米国が欧州、メキシコ、カナダに輸入関税を課した場合、欧米自動車メーカーの年間総コア利益が最大17%減少するとの見通しを示し、信用格付けを引き下げる可能性を警告した。写真はメキシコ・プエブラのフォルクスワーゲン(VW)の工場。2019年撮影(2024年 ロイター/Imelda Medina)
[29日 ロイター] - S&Pグローバルは29日に発表したリポートで、米国が欧州、メキシコ、カナダに輸入関税を課した場合、欧米自動車メーカーの年間総コア利益が最大17%減少するとの見通しを示し、信用格付けを引き下げる可能性を警告した。
特に、主に欧州で生産している高級車メーカーのボルボとジャガー・ランドローバー、メキシコとカナダに組立工場を抱えるゼネラル・モーターズ(GM)とステランティスが最も脅威にさらされているという。
トランプ次期米大統領は25日、メキシコとカナダが麻薬や不法移民の米国流入を取り締まるまで両国からの全輸入品に25%の関税を課すと表明。実施されれば、1期目の政権で北米自由貿易協定(NAFTA)後継として発効させた米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に違反することになる。
アナリストや専門家は、欧州連合(EU)製品に対する直接関税より、フォルクスワーゲン(VW)やステランティスなどの欧州メーカーと供給業者がより大きな打撃を受ける恐れがあると懸念している。
S&Pは「関税引き上げについては緩和措置で制御できる見込みだが、2025年に欧州で始まる二酸化炭素規制強化、中国と欧州での競争激化による収益への圧力から格下げリスクが高まる可能性がある。関税により25年に生じる他の逆風が増幅した場合、格付け変更の可能性が出る」と指摘した。