メキシコ中銀、追加利下げ視野も拙速な行動には慎重論=議事要旨
11月28日、 メキシコ中央銀行が公表した今月の金融政策決定会合議事要旨で、物価上昇率鈍化を背景に追加利下げを視野に入れつつも、拙速な行動は慎みたい、という政策委員らの認識が判明した。 メキシコ市の同行前で4月撮影(2024年 ロイター/Henry Romero)
Brendan O'Boyle
[メキシコ市 28日 ロイター] - メキシコ中央銀行が28日公表した今月の金融政策決定会合議事要旨で、物価上昇率鈍化を背景に追加利下げを視野に入れつつも、拙速な行動は慎みたい、という政策委員らの認識が判明した。
中銀は14日に開催したこの会合で、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げて10.25%とすることを全会一致で決定した。
メキシコの11月前半の消費者物価指数前年比上昇率は、前月の4.69%から4.56%に減速。変動の大きいエネルギーと食品を除くコア物価上昇率は3.58%と市場予想を下回った。このため12月19日の次回会合で追加利下げされる公算が大きいとの観測が強まっている。
しかし議事要旨によると、大半の委員は5日の米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことに伴う不確実性が世界の金融市場を不安定化させたと指摘した。
また1人の委員は、この米大統領選を含めたさまざまな出来事が金融関連の変数や物価動向を含む経済指標に影響を及ぼしたと言及し、過去のサイクルの開始時期と比べて今回は金融政策運営にはより強い慎重さが求められていると説明した。
別の委員も慎重な政策運営を支持。最近ブラジルでインフレが再燃してせっかく始めた利下げから利上げに転換せざるを得なくなった事態を教訓に、利下げの幅やペースを入念に計算して、物価上昇率が目標付近にしっかり定着する前の早過ぎる利下げは避けなければならないとの考えを示した。
一方、他の2人の委員は、物価情勢の改善を理由に挙げて、次回以降の会合で利下げ幅拡大を議論することに前向きな姿勢を明らかにした。
ゴールドマン・サックスのチーフ中南米エコノミスト、アルベルト・ラモス氏は、12月会合で25bpの追加利下げがあると予想した上で、利下げ幅を50bpに広げる公算は乏しいとみている。国内外、とりわけ米国とメキシコの二国間関係に絡む不確実性がある以上、より大幅な利下げは手控えられるだろうという。