北京と上海、住宅購入促進へ減税措置 低迷する不動産市場後押し

11月18日、中国・上海市は12月1日から不動産取引にかかる一部税金を引き下げると発表した。国営メディアが伝えた。2011年12月(2024年 ロイター/Carlos Barria)
Liangping Gao Joe Cash
[北京 19日 ロイター] - 中国の北京市と上海市は、住宅購入の促進に向けて減税措置を発表した。中国では不動産セクターの苦境が成長の足を引っ張り続けている。
中国の他の主要都市もこれに続くと予想されている。中国政府は13日、住宅や土地の取引に対する税優遇措置を発表した。
18日の発表によると、北京と上海の居住者は、購入から2年以上経過した不動産を売却する場合は増値税が免除される。譲渡税の課税基準も従来の90平方メートルから140平方メートル超に引き上げた。
中国は9月末にも住宅購入に関する制限を緩和。初回住宅購入者が組む住宅ローンの頭金の最低比率も15%に引き下げた。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、シュー・ティアンチェン氏は「9月以降の政策転換は、需要を回復させ、住宅価格と株価を下支えする効果があった」と指摘する一方で、「しかし、中国経済の足場はまだしっかりしておらず、信頼感を回復させるためには、大胆かつ持続的な政策支援が必要」との見方を示した。
不動産コンサルタント会社JLLの主任エコノミスト、ブルース・パン氏は今回の決定について、住宅部門への信頼を回復し購買意欲を刺激することを目的とした全国的な政策の延長と指摘した。
「今後数週間でさらに多くの都市が同様の優遇措置を発表すると予想している」と語った。
しかし「微博(ウェイボ)」では否定的な反応が目立った。
「(不動産価格は)労働者が購入できる水準まで下がることはないだろう」「さらなる刺激策を講じても、不動産市場が短期的に回復するのは難しいだろう」といった投稿が見られた。
JLLのパン氏は、取引コストを下げるだけでは住宅市場に持続的な刺激を与えることは難しいとの見方を示した。
「不動産部門の成長エンジンを再燃させるには、政策当局者は経済成長と所得の伸びに関する住民の期待に応え、住宅価格についてより安定した見通しを提示する必要がある」と述べた。