「コーチ」保有企業、「マイケル・コース」の買収を撤回 当局に統合認められる見通し立たず
11月14日、ファッションブランドの「コーチ」や「ケイト・スペード」などを保有する米タペストリーは、「マイケル・コース」などを抱える米カプリ・ホールディングスを85億ドルで買収する計画を撤回すると発表した。カリフォルニア州ラホヤで2017年撮影(2024年 ロイター)
Savyata Mishra Ananya Mariam Rajesh
[14日 ロイター] - ファッションブランドの「コーチ」や「ケイト・スペード」などを保有する米タペストリーは14日、「マイケル・コース」などを抱える米カプリ・ホールディングスを85億ドルで買収する計画を撤回すると発表した。両社の統合が反トラスト法(独占禁止法)に抵触する恐れがあるとする規制当局と係争中で、統合が認められる見通しが立たないため。
タペストリーは買収によって他に擁している「スチュアート・ワイツマン」、カプリの「ジミー・チュウ」と「ヴェルサーチ」も含めた計6つの有名ブランドを傘下に抱え、欧州の競合他社に対抗すること目指していた。
しかし、米連邦取引委員会(FTC)がハンドバッグの主要企業を手がける両社が統合すれば競争が排除され、不当に価格をつり上げる恐れがあるとして買収差し止めを求めて提訴し、ニューヨークの連邦地裁が10月にFTCの訴えを認める判決を下した。
タペストリーは差し止め命令を不服として上訴したが、買収計画の期限となる来年2月10日までに解決する見込みがないため計画撤回で合意した。
タペストリーの株価は14日に前日比で12%超上昇して57.47ドルと、約10年ぶりの高値を付けた。
一方、カプリは従業員削減や一部店舗の閉鎖といったコスト削減計画を公表し、株価は5%弱上昇した。
<ブランド売却の可能性>
また、カプリのトーマス・エドワーズ最高財務責任者(CFO)はアナリストらとの電話会談で「当社は、当社の資産に興味を持つ企業との協議に常にオープンだ」と語り、ブランドを売却する可能性も否定しなかった。
カプリは数四半期連続で減収となっており、マイケル・コースの商品を消費者が買い求めやすい価格より高く設定するなどの不手際があったことを認めた。
モーニングスターのアナリスト、デビッド・スワーツ氏は、業績が改善すれば欧州の高級ブランド企業がヴェルサーチとジミー・チュウに興味を持つとの見方を示した。
一方、タペストリーは当面いかなる買収も見込んでおらず、カプリが支出した約4500万ドルの買収関連費用を支払うことで同意したと明らかにした。
タペストリーのジョアン・クレボイセラ最高経営責任者(CEO)は、自社の既存事業の成長を加速させる計画だとして「大きな伸びしろがある」と語った。同社は先週、2025年の利益見通しを上方修正していた。