ソフトバンクG、7―9月純利益1.1兆円 CFO「非常にいい数字」
11月12日 ソフトバンクグループが12日に発表した2024年7―9月期の連結純損益(国際会計基準)は1兆1796億円の黒字(前年同期は9311億円の赤字)だった。写真はソフトバンクグループのロゴで、2017年7月に都内で撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)
Miho Uranaka Anton Bridge
[東京 12日 ロイター] - ソフトバンクグループが12日に発表した2024年7―9月期の連結純損益(国際会計基準)は、市場予測を大幅に上回る1兆1796億円の黒字(前年同期は9311億円の赤字)だった。世界的な株高で投資先の価値が上昇し傘下の投資ファンドの業績が好調で、保有するTモバイル株も利益を押し上げた。会見した後藤芳光・最高財務責任者(CFO)は「非常にいい数字で着地した」と総括した。
純利益は、4―6月期の1742億円の赤字から黒字に転換した。IBESがまとめたアナリスト4人のコンセンサス予想では、7─9月期の純損益の平均値は2867億円の黒字だった。
AI(人工知能)関連企業に投資する傘下のビジョン・ファンド(VF)の7─9月期の投資損益は6084億円(前年同期は213億円)で、4─6月期の19億円から改善。9四半期ぶりに累積投資損益が黒字に転換した。
韓国の電子商取引(EC)最大手のクーパンや、中国の配車サービス大手、滴滴出行(ディディ・グローバル)の株価が上昇したほか、中国のネット大手、字節跳動(バイトダンス)など未上場の企業の公正価値の改善も貢献した。
未上場株に対する評価額が相対的に高い水準の時期に投資を始めたビジョン・ファンド2(VF2)の成果も改善。決済サービスのPayPay(ペイペイ)など上場に近づく有望な投資先も増加しており、VF全体における上場予備軍の投資先の公正価値は340億ドルに上るという。
VFが投資する主要企業の中には、ディディをはじめ大規模に事業を展開する中国企業もあり、トランプ氏の米大統領復帰が決まったことで米中対立の影響を懸念する向きもある。後藤氏は「投資先企業が影響を受ける可能性もある。注視していく」と語った。
一方、決算後にロイターのインタビューに応じたVFのナブニート・ゴビルCFOは、「我々が投資する企業は政権の影響を受けにくい」と説明。ディディのような革新的な企業の業績は政治の影響ではなく、実力に基づいているとした。
VF2は9月、対話型AI「チャットGPT」を手掛ける米新興企業オープンAIへ5億ドルを出資。投資直後の企業価値は1570億ドルだった。決算について会見した後藤CFOは、AGI(人工汎用知能)時代の実現に向けてオープンAIの勢いは加速していくと予測し投資を決めたと説明した。
手元流動性は、6月末からは減少したものの9月末時点で3.8兆円あり、今後2年分の社債償還資金2.1兆円を十分に上回る水準。保有株式に対する純有利子負債の割合を示す負債カバー率(LTV)も低水準を維持し、財務基盤は安定している。
後藤CFOは「会社としての財務が強くなればなるほどチャレンジ対象の規模も大きくなる。会社が強くなることで、いろんなチャンスに取り組めるだけの準備が整ってきている」と述べた。
ソフトバンクGは、通期の業績見通しは開示していない。