ニュース速報
ビジネス

高関税、物価上昇招き「大きな誤り」 トランプ案念頭に米財務長官

2024年10月17日(木)19時04分

 10月17日、イエレン米財務長官は、大統領選の共和党候補トランプ前大統領が提案しているような高水準の関税による米経済の囲い込みは「大きな誤り」で、米国の消費者物価を押し上げるほか、企業の競争力低下につながるという見解を示す。米首都ワシントンで7月9日撮影(2024年 ロイター/Ken Cedeno)

David Lawder

[ワシントン 17日 ロイター] - イエレン米財務長官は17日、大統領選の共和党候補トランプ前大統領が提案しているような高水準の関税による米経済の囲い込みは「大きな誤り」で、米国の消費者物価を押し上げるほか、企業の競争力低下につながるという見解を示す。

17日午後にニューヨークの外交問題評議会で行う講演の抜粋を財務省が公開した。

イエレン氏はその中で、米国は自国の経済と国家安全保障上の利益を推進するために過去のような一国主義の行動に戻ることはできないと述べた。

トランプ氏を名指ししてはいないが、同氏の大幅な関税引き上げ案に言及した。

トランプ氏は米国のほぼ全ての輸入品に10─20%の関税を課すことを提案している。中国からの輸入品には少なくとも60%の税率を適用するとしているほか、米農業機械大手ディアなど個別企業に対しても生産拠点をメキシコに移せば最大200%の関税を課すと警告している。

イエレン氏は中国との間でより健全な経済関係を構築する必要性を強調し、関係を断ち切ることには反対した。

「中国との貿易や投資は米国の企業や労働者に大きな利益をもたらす可能性があり、維持されなければならない」とした上で、「公平な競争条件に基づく健全な経済関係を築く必要がある」と述べた。

イエレン氏は、中国市場へのアクセス障壁や不公正な商慣行が米国の企業や労働者、中国で事業展開を目指す外国企業にとって課題となっていると指摘。こうした政策が重要産業における過剰生産能力を助長し、米企業の存続を脅かし、外国の生産者を中国のサプライチェーンに依存させているとの見解を示した。

電気自動車(EV)、半導体、太陽電池など中国からの戦略的な輸入品に対するバイデン大統領の大幅な関税引き上げを擁護し、米国の同盟国も同様の措置を講じたり、検討したりしていると指摘した。

「このような国際的なコンセンサスの高まりは、慣行を変えなければならないという中国に対する強力な意思表示だ」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米のガザ人道改善要求、EU外相が1カ月の猶予批判

ワールド

ガザ北部でイスラエル軍が包囲強化、空爆で11人死亡

ワールド

エジプト大統領、イラン外相と会談 地域情勢協議

ビジネス

高関税、物価上昇招き「大きな誤り」 トランプ案念頭
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
特集:米大統領選 決戦前夜の大逆転
2024年10月22日号(10/16発売)

米大統領選を揺るがす「オクトーバー・サプライズ」。最後に勝つのはハリスか? トランプか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 2
    「自由に生きたかった」アルミ缶を売り、生計を立てる荒川のホームレスたち
  • 3
    東京に逃げ、ホームレスになった親子。母は時々デパートに行って「ある作品」を作っていた
  • 4
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 5
    荒川河川敷ホームレスの「アパート」と「別荘」を、…
  • 6
    北朝鮮を訪問したプーチン、金正恩の隣で「ものすご…
  • 7
    東京メトロ、需要倍率は15倍超える 6年ぶり大型IP…
  • 8
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 9
    日本の男性若年層の手取り年収は、過去30年で50万円…
  • 10
    【クイズ】シュークリームの「シュー」はどういう意…
  • 1
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 2
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 3
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明かす意外な死の真相
  • 4
    『シビル・ウォー』のテーマはアメリカの分断だと思…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはど…
  • 6
    「メーガン・マークルのよう」...キャサリン妃の動画…
  • 7
    「メーガン妃のスタッフいじめ」を最初に報じたイギ…
  • 8
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
  • 9
    東京に逃げ、ホームレスになった親子。母は時々デパ…
  • 10
    ビタミンD、マルチビタミン、マグネシウム...サプリ…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はどこに
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 6
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 7
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 8
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
  • 9
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 10
    キャサリン妃がこれまでに着用を許された、4つのティ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中