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日本国債は超長期債への投資継続、低利回り債は売却=日本生命・下期運用計画

2024年10月17日(木)19時01分

 10月17日、日本生命保険は、2024年度下期の一般勘定運用で、日本国債を上期に続いて一定程度積み増す一方、低利回り債の売却を進める。写真は同社のロゴ、2019年2月、都内で撮影(2024年 ロイター/Hideyuki Sano)

Tomo Uetake

[東京 17日 ロイター] - 日本生命保険は、2024年度下期の一般勘定運用で、日本国債を上期に続いて一定程度積み増す一方、低利回り債の売却を進める。国債で主な投資対象とする30年債については、足元の利回りが負債コストを上回って一定の魅力があるものの、年間アロケーションに沿った投資にとどめる考えを示した。

都築彰・執行役員財務企画部長が17日、資産運用方針説明会で明らかにした。

円金利資産の柱となる「国内債券等」には日本国債(JGB)のほか、通貨スワップを使って円建てのキャッシュフローに固定した外国社債が含まれる。

このうちJGBについて、都築氏は「下期も金利は一定の上昇は見込んでいるので、金利が上がったところではしっかり買って下がったところでは少し控えるなど、タイミングを見て買っていく」と説明。

日本生命が主な投資対象とする30年国債の利回りは17日時点で2.135%と、同社の負債コストの平均である1.7%を上回っている。都築氏は、水準的には「十分魅力がある」としたが、「これまで円金利リスクの削減として取り組んできた円金利資産の長期化はもうほぼ対応できているので、金利水準が低いところで買うインセンティブは少なくなった」との見方を示した。

日銀の金融政策については、今年度は年末か年始に25ベーシスポイント(bp)の利上げ、来年度にもさらに2回の利上げがあるとのシナリオを想定し、10年金利(長期金利)は今年度末に1.4%に上昇すると予想している。17日時点の10年金利は0.960%。

一方、円金利化した外国社債については低利回り債の売却を進め、残高を圧縮する。同社はJGBの買い増し規模と円金利化した外国社債の売却規模についてはコメントを控えたが、それらを合計した「国内債券等」としては残高減少を見込む。

外国債券のうち為替ヘッジ付き外債は、中長期的視点で妙味のある社債等に投資を行うほか、ヘッジコストの変動に耐性がある変動金利資産であるプライベートクレジット(ダイレクトレンディング、CLO、インフラデット)を拡充して、残高を増やす。一方、オープン外債は為替や金利水準次第だが、残高は横ばいから減少を見込む。

このほか、国内株式の残高は概ね横ばい、オルタナティブを含む外国株式は、利回り向上と分散投資の観点から残高を積み増す。国内不動産は物件のリニューアルに投資するなどして、残高は横ばいの計画。

日本生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で82兆3232億円。うち外貨建て資産は21兆0901億円(25.6%)。

2024年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り  1.00―1.80%(1.40%)

日本国債30年物利回り    非 公 表   (2.00─2.50%)

米10年国債利回り    2.30―5.30%(3.80%)

日経平均株価       3万2000―4万4000円(3万8000円)

NYダウ         3万5000─4万7000ドル(4万1000ドル)

ドル/円         130―160円 (145円)

ユーロ/円        140―170円 (155円)

(植竹知子)

ロイター
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