金利は「時間ともに」中立へ、利下げ急がず=FRB議長
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は30日、経済が概ね予想通りに発展すれば、政策は時間の経過とともにより中立的な姿勢へと移行するとの見解を示した。18日撮影(2024年 ロイター/Tom Brenner/File Photo)
Howard Schneider
[ナッシュビル(米テネシー州) 30日 ロイター] - パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は30日、経済が概ね予想通りに発展すれば、政策は時間の経過とともにより中立的な姿勢へと移行するとの見解を示した。ただ、利下げペースを早めるか遅らせるかについて、明確な姿勢は示さなかった。
テネシー州ナッシュビルで開かれた全米企業エコノミスト協会(NABE)年次会合で講演した。
パウエル議長は「ディスインフレは広範囲に及んでおり、最近のデータはFRBが目標とするインフレ率2%への持続的な回帰に向けてさらに前進していることを示している」と指摘。「経済が概ね予想通りに推移すれば、政策は徐々に中立的な姿勢へと移行するだろう」とした。
一方、「われわれはあらかじめ定められた道筋をたどっているわけではない。リスクは両面性があり、今後も会合ごとに決定を下していく」とも述べた。
講演後の質疑応答では、利下げの見通しについて「時間をかけて展開されるプロセス」とし、「米連邦公開市場委員会(FOMC)は急いで利下げをしようとしているわけではない」と述べた。
また、「経済が予想通り推移すれば、年内にさらに2回、合計50ベーシスポイント(bp)の追加利下げが行われることになる」とした。
<経済は「堅調」>
パウエル議長が「両面」リスクに言及したことは、データが蓄積されるにつれて議論が活発になることを示唆している。10月4日発表の米9月雇用統計は、最初の主要指標として注目される。
パウエル氏は「より広範な経済状況がさらなるディスインフレの土台を整えている」とし、モノの価格が下落している上、高止まりしていたサービス産業のインフレ率も現在「コロナ前のペースに近づいている」と指摘した。
一方、住宅インフレ鎮静化の進展は「鈍い」としながらも「新規入居者向け家賃の伸び率は依然として低い。この状況が続く限り、住宅サービス価格の上昇は引き続き鈍化するだろう」と述べた。
雇用市場については「堅調」さが続いており、失業率は4.2%と依然として低い水準で、長期的にはFRB当局者が持続可能と考える水準付近にあると述べた。
その上で「経済は全体的に堅調だ。われわれはその状態を維持するために政策手段を活用するつもりだ」と言明。失業率の急上昇なしにインフレ率を下げることについて、FRBは「かなりの進歩」を遂げたとした。