ニュース速報
ビジネス

ECB当局者、追加利下げに論拠 伝達方法巡り見解割れる

2024年09月16日(月)23時42分

欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事兼主任エコノミストは、ECBは段階的な利下げを続けるべきと述べた。6月、ロンドンで撮影(2024年 ロイター/Anna Gordon)

[フランクフルト 16日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事兼主任エコノミストは16日、ECBは段階的な利下げを続けるべきとの見解を示した。ただ、他の当局者の間から、経済の不確実性が高まる中、ECBが利下げの意図をどのように伝えるべきか、異なる見解も示された。

レーン氏は講演で「今後発表される経済指標が基調的な予測と整合的なら、制約的な金融政策の段階的な緩和が適切になる」と述べた。同時に、経済が停滞したり、ディスインフレが加速したりすれば、利下げを加速させる必要がある一方、予想外に逆の方向への動きが出れば、利下げを緩めなくてはならないとし、「(政策)調整のペースに選択の余地を残す必要がある」と語った。

ECB理事会メンバーのカジミール・スロバキア中銀総裁はブログへの投稿で、2025年末までにインフレが目標水準に戻ると示す確かなデータが必要だとし、急速な利下げにはリスクがあると指摘。「10月の理事会での追加利下げを支持するには、見通しに関する大きな変化や、強力なシグナルが必要だ」とし、「状況が一段と明確になる12月まで、次の行動を起こすのを待つ必要があるのはほぼ確実だ」と述べた。

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)によると、第2・四半期の労働コストは前年同期比4.7%上昇。伸びは前四半期の5.0%から鈍化したが、ECBがインフレ目標と整合的と見なす3%をなお上回っている。

デギンドスECB副総裁は、急速なインフレで労働者の購買力が大幅に低下した後、賃金がようやく追いついているのが現状だとし、来年は労働コストの伸びは大きく鈍化するとの見方を示した。

デギンドス氏もレーン氏と同様に、金融政策運営を巡りあらゆる選択肢を残しておく必要があるとの考えを示している。

ECBは12日に開いた理事会で0.25%ポイントの利下げを決定。その約5週間後の10月17日に開く次回理事会で追加利下げが決定される確率は、現時点で25%程度となっている。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

コメルツ銀、CFOを対ウニクレディト交渉責任者に来

ビジネス

日鉄のUSスチール買収、審査手続きは進行中=米ホワ

ワールド

ブラジル中銀、2年ぶり利上げ インフレリスクに対応

ビジネス

SEC、株式「呼び値」最小単位縮小を全会一致で採択
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 2
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエルのハイテク攻撃か
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に…
  • 5
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 6
    「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺…
  • 7
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 8
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 9
    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…
  • 10
    岸田政権「円高容認」の過ち...日本経済の成長率を高…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 7
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 8
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 9
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 10
    世界に離散、大富豪も多い...「ユダヤ」とは一体何な…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 9
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中