ニュース速報
ビジネス

ウニクレディトがコメルツ銀株取得、独銀行再編巡る議論再燃

2024年09月13日(金)13時55分

 9月12日、イタリアのウニクレディトがドイツのコメルツ銀行買収に向けた「最初の一手」を打ったことで、ドイツ国内では銀行業界の将来を巡る議論が再燃している。2017年撮影(2024年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

Christian Kraemer Tom Sims John O'Donnell

[フランクフルト/ベルリン 12日 ロイター] - イタリアの大手銀行ウニクレディトがドイツのコメルツ銀行買収に向けた「最初の一手」を打ったことで、ドイツ国内では銀行業界の将来を巡る議論が再燃している。ドイツ政府はコメルツ銀株の追加売却を停止し、国内最大手ドイツ銀行の出方にも注目が集まっている。

ウニクレディトは今週、コメルツ銀株の9%を取得したと発表した。一部はドイツ政府が売却した分だった。消息筋らによると、意表を突かれたドイツ政府高官らは不快感を示し、コメルツバンク幹部も反発している。

ウニクレディトのアンドレア・オーセル最高経営責任者(CEO)は12日、コメルツ銀との経営統合に関心があるが、急いではいないと発言。いずれにせよコメルツ銀株の取得は適切な投資だと述べた。

コメルツ銀は、2008年の金融危機後に政府が救済に乗り出したほどの重要行。ドイツにおける数少ない大手民間銀行のひとつで、中堅企業に多額の融資を行っている。

ホーエンハイム大学の銀行専門家、ハンスペーター・ブルグホフ氏は、コメルツ銀とウニクレディトが統合すれば「競争が妨げられ、ドイツ、特に中堅企業にとって好ましくない」と述べた。

投資家の間では、ウニクレディトに対抗してドイツ銀がコメルツの買収に乗り出す可能性も注目されている。

JPモルガンのアナリストチームは顧客向け資料で、この組み合わせは「ドイツ銀とドイツの利益に最もかなう」との見解を示した。

ただ、ドイツ銀とコメルツ銀の統合は実現可能性が低いとの見方もある。ドイツ銀は5年前、ドイツ政府の要請でコメルツの買収を検討したが、断念したと消息筋が当時ロイターに語った。

ドイツ政府高官が当時ロイターに明かしたところでは、買収すればコメルツ銀が保有するイタリア国債などの評価を調整する必要があり、数十億ユーロ規模の損失が発生することが大きなハードルのひとつになった。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ドイツ経済相、輸入EV追加関税を巡る中国との貿易摩

ワールド

北朝鮮のミサイル、着弾地点は北朝鮮内陸部の東岸付近

ワールド

北朝鮮が複数の弾道ミサイル、内陸部の東岸付近に落下

ワールド

豪中銀、デジタル通貨はホールセール向け優先と決定
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...試聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 2
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰だこれは」「撤去しろ」と批判殺到してしまう
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 5
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 6
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 7
    原作の「改変」が見事に成功したドラマ『SHOGUN 将軍…
  • 8
    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…
  • 9
    バルト三国で、急速に強まるロシアの「侵攻」への警…
  • 10
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 7
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 8
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...試聴した「禁…
  • 9
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 10
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 8
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 9
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 10
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中