ニュース速報
ビジネス

ECBが0.25%追加利下げ、成長鈍化に対応

2024年09月12日(木)23時05分

欧州中央銀行(ECB)は12日、インフレと経済成長の鈍化を受けて0.25%の追加利下げに踏み切った。本部で7月撮影。(2024年 ロイター/Jana Rodenbusch/File Photo)

Balazs Koranyi Francesco Canepa

[フランクフルト 12日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は12日、インフレと経済成長の鈍化を受けて0.25%の追加利下げに踏み切った。

6月に続き主要政策金利の中銀預金金利を3.75%から3.50%に引き下げたが、決定は会合ごとに実施し特定の道筋に事前にコミットしないとのガイダンスを維持した。

声明では「インフレ見通し、基調インフレの動向、金融政策の伝達程度に関する最新の評価に基づき、金融政策の制限の度合いを緩和する措置を講じることが適切と理事会は判断した」と述べた。

その上で「理事会は引き続き、データに依存して会合ごとに適切な水準と制約期間を決定する」とし、「特定の金利の道筋を事前に確約することはない」と述べた。

「賃金が依然高いペースで上昇しており域内のインフレ率は依然として高い」と指摘。「だが、労働コスト圧力は緩やかになり、賃金上昇がインフレに与える影響を利益が部分的に緩和している」とした。

ラガルド総裁も記者会見で「われわれは特定の金利経路を事前に約束しているわけではない」と強調。「一連の指標を精査している」とした上で、統計的ベース効果のため、9月のインフレ率は低水準になる可能性が高いと指摘した。

また、ユーロ圏のインフレは全体的な労働コスト圧力が緩和され企業によって吸収される一方で、賃金上昇が引き続き上昇に寄与しているという複雑な見通しを示した。

ユーロ圏の市場はほとんど変動しなかった。将来の金利の道筋に関する手がかりがなかったためだ。アナリストはこれをECBの慎重さの証拠と解釈した。

INGのマクロ部門グローバル責任者、カーステン・ブルゼスキ氏は「ECBのインフレ上昇予測はかなり慎重な傾向にあるため、より積極的な利下げを行う前に完全に(インフレ鎮静化の)確信を得たいと考えているだろう」と述べた。

四半期ごとに発表するECBのスタッフ予想によると、今年の成長率は6月の予想を若干下回る一方、インフレ率が目標に戻るのは来年後半と見られている。

預金金利は0.25%ポイント引き下げたが、リファイナンス金利は以前から予告されていた技術的調整により、0.60%ポイント引き下げ3.65%とした。両金利の差は2019年9月以降50ベーシスポイント(bp)に設定されていたが、銀行間融資を促すため3月、今回から金利差を15bpに縮小するとしていた。限界貸出金利も0.60%引き下げられ3.90%とした。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏鉱工業生産、11月は前月比+0.2%・前年

ビジネス

独GDP、第4四半期速報は0.1%減 年間は2年連

ワールド

インドネシア中銀、0.25%利下げ 成長支援へ予想

ワールド

韓国大統領、取り調べで沈黙守る 録画も拒否=捜査当
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン」がSNSで大反響...ヘンリー王子の「大惨敗ぶり」が際立つ結果に
  • 4
    「日本は中国より悪」──米クリフス、同業とUSスチ…
  • 5
    ド派手な激突シーンが話題に...ロシアの偵察ドローン…
  • 6
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 7
    日鉄はUSスチール買収禁止に対して正々堂々、訴訟で…
  • 8
    ロシア軍高官の車を、ウクライナ自爆ドローンが急襲.…
  • 9
    TikTokに代わりアメリカで1位に躍り出たアプリ「レ…
  • 10
    中国自動車、ガソリン車は大幅減なのにEV販売は4割増…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 6
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も…
  • 7
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「…
  • 8
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 9
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 10
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中