ニュース速報
ビジネス

注目の米FRB議長講演、利下げ前の状況説明に重点との見方優勢

2024年08月23日(金)14時28分

米経済指標は連邦準備理事会(FRB)に利下げのゴーサインを出しており、金融市場もそれに備えている。資料写真、パウエルFRB議長,2020年12月、代表撮影(2024年 ロイター)

Howard Schneider

[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 23日 ロイター] - 米経済指標は連邦準備理事会(FRB)に利下げのゴーサインを出しており、金融市場もそれに備えている。21日に公表された7月30─31日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でも、政策当局者の「大多数」が来月からの金融緩和開始に前向きであることが示された。

そうなると、ジャクソンホール会議における23日の講演でパウエルFRB議長が目指すのは、期待をさらに形成するというより利下げ前に経済がどうなっているかを評価することかもしれない。

元FRB副議長で現在はピムコのグローバル経済アドバイザーを務めるリチャード・クラリダ氏は「パウエル議長は7月の記者会見以上のことをする必要はないと思う」と指摘。7月のFOMC後の記者会見では9月会合での利下げを示唆していた。

クラリダ氏は「『任務完了』とはならないだろうが、彼は過去2年間を振り返り、われわれがどこにいたのか、そして今どこにいるのかに触れ、(過去40年間で最悪のインフレの抑制に)近づいていると認めるかもしれない」と語った。

パウエル氏は東部時間午前10時(日本時間午後11時)に登壇する。

元FRB金融問題担当部門責任者で現在はエール大学経営大学院教授のウィリアム・イングリッシュ氏は、今こそ利下げアプローチについて概要を示す必要があると指摘。経済情勢の変化に応じてFRBがどう対応するかを国民や市場が理解できるよう、背景情報をいくらか提供できるのではないかと述べた。

パウエル氏の元特別顧問で現在はノーザン・トラスト・アセット・マネジメント債券チームのグローバルマクロ責任者を務めるアントゥリオ・ボンフィム氏も、パウエル氏が短期的なガイダンスを避け、より広範な問題について語る可能性が高いと指摘。FRBが経験したことや、今後の雇用・インフレ動向がコロナ禍前とどのように異なっている可能性があるかを説明しようとするかもしれないという。

「われわれは政策の転換点にいる。経済にとっても転換点になる可能性がある。転換点の対応は非常に難しい」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米財政赤字8月、3800億ドル 学生ローン救済計画

ビジネス

米8月PPI、前月比+0.2%で予想上回る 前年比

ワールド

クアッド首脳会合、21日開催 バイデン氏地元の米デ

ワールド

ハリス氏リード拡大、米大統領選支持率 TV討論会で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 4
    公的調査では見えてこない、子どもの不登校の本当の…
  • 5
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 6
    33店舗が閉店、100店舗を割るヨーカドーの真相...い…
  • 7
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 8
    「これは無理」「消防署に電話を」出入口にのさばる…
  • 9
    数千度の熱で人間を松明にし装甲を焼き切るウクライ…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 3
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 4
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 5
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 8
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 9
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...…
  • 10
    メーガン妃が自身の国際的影響力について語る...「単…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】
  • 4
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 5
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 6
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座…
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 10
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中