ニュース速報
ビジネス

内田副総裁と「考え違わず」と日銀総裁、政策調整の戦略を再強調

2024年08月23日(金)17時09分

8月23日、日銀の加藤毅理事は参院・財政金融委員会の閉会中審査で、利上げ後も実質金利は大幅なマイナスであり、引き続き経済活動や企業収益、賃金をサポートしていくことになると述べた。写真は日銀本店。都内で3月撮影(2024 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada Hitoshi Ishida

[東京 23日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は23日午後に行われた参院財政金融委員会の閉会中審査で、金融政策の考え方について「私と内田(真一)副総裁に違いはない」と述べた。その上で、午前の衆院での質疑に続き、市場動向が経済・物価見通しやリスクに及ぼす影響を見極めた上で「経済・物価見通しがおおむね実現していく姿になっていけば、金融緩和度合いを調整していくという基本的な姿勢には変わりがない」と語った。

植田総裁は7月の金融政策決定会合後の記者会見で追加利上げに前向きな姿勢を示した。一方で、内田副総裁は8月7日の講演で「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と強調した。

植田総裁は、内田副総裁の発言は7月会合後の金融市場の変動を踏まえたものだとの認識を示し、「適切だった」と述べた。

総裁は、8月に入って以降の市場の動きは急激で「現在も不安定な状況にある可能性がある」と指摘、「当面は高い緊張感を持って市場動向を注視するとともに、経済・物価見通しあるいはそのリスクにどういう影響があるか、丹念に見ていきたい」と話した。

7月会合後に発表された4―6月期の実質国内総生産(GDP)や毎月勤労統計を挙げ、経済は日銀が想定した通りに推移しており、7月の追加利上げは「適切だった」と述べた。

財金委の委員からは、国債買い入れの減額計画や保有する上場投資信託(ETF)についての質問も出た。

植田総裁は、国債の保有残高が減っていくことによる長期金利への影響について「それほど大したものではない」と述べた。日銀は2026年3月にかけて買い入れ額を減らしていくが、残高の減少は7―8%にとどまる。

保有ETFについては、日経平均株価が1000円下落すると評価益が1兆8000億円程度減るとの試算を上條俊昭審議役が明らかにした。

<鈴木財務相、日銀擁護の一幕も>

植田総裁は岸田文雄首相が退陣を表明したことを受けて次期政権との向き合い方を問われ、「これまでと同様、政府と十分な意思疎通を図っていきたい」と述べた。

鈴木俊一財務相は「金融政策から派生する出来事について、全て日銀に責任を押し付けるのは避けないといけない」と話し、日銀を擁護する姿勢を示した。

8月上旬の市場変動について、米景気への懸念が生じ、投機筋がポジションを解消したことが大きな動きにつながったとの見方があると指摘。「投機的な動きも含め、金融市場の動向をしっかり注視する」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米財政赤字8月、3800億ドル 学生ローン救済計画

ビジネス

米8月PPI、前月比+0.2%で予想上回る 前年比

ワールド

クアッド首脳会合、21日開催 バイデン氏地元の米デ

ワールド

ハリス氏リード拡大、米大統領選支持率 TV討論会で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 4
    公的調査では見えてこない、子どもの不登校の本当の…
  • 5
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 6
    33店舗が閉店、100店舗を割るヨーカドーの真相...い…
  • 7
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 8
    「これは無理」「消防署に電話を」出入口にのさばる…
  • 9
    数千度の熱で人間を松明にし装甲を焼き切るウクライ…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 3
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 4
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 5
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 8
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 9
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...…
  • 10
    メーガン妃が自身の国際的影響力について語る...「単…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】
  • 4
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 5
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 6
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座…
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 10
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中