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米CPI、7月は前年比2.9%上昇 約3年半ぶりに3%割れ

2024年08月15日(木)04時13分

米労働省が14日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、前月比0.2%上昇し、6月の0.1%低下から反転した。2022年8月撮影(2024年 ロイター/Sarah Silbiger)

[ワシントン 14日 ロイター] - 米労働省が14日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、前月比0.2%上昇し、6月の0.1%低下から反転した。前年比では2.9%上昇し、伸びは前月の3.0%から鈍化。前年比上昇率は2021年3月以来、初めて3%を下回った。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は、前月比0.2%上昇、前年比3.0%上昇だった。

変動の大きい食品とエネルギー成分を除くコアCPIは前月比0.2%上昇。6月は0.1%上昇していた。前年比では3.2%上昇と、伸びは前月の3.3%から縮小し、21年4月以来の低水準となった。

エコノミスト予想は前月比が0.2%上昇、前年比が3.2%上昇だった。

<9月の0.25%ポイント利下げ観測高まる>

前日に発表された7月の卸売物価指数(PPI)も伸びが鈍化。インフレが確実に下降傾向に戻ったことが示唆された。

米連邦準備理事会(FRB)が来月に利下げを実施するとの観測に変わりはないが、インフレ率はFRBが目標とする2%をなお上回っているため、労働市場が悪化しない限り、9月に0.50%ポイントの大幅利下げが決定される公算は小さいとみられている。

CMEグループのフェドウオッチによると、9月17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%ポイントの利下げが実施される確率は45.5%。利下げ幅が0.25%ポイントになる確率は54.5%と、CPI発表前の49.5%から上昇した。

BMOキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「インフレ目標に向けた継続的な進展が示され、9月の利下げを阻むものは何もない」と指摘。同時に、大幅利下げがすぐに実現する可能性は低いとの見方を示した。

ゴールドマン・サックス・アセットマネジメントの債券部門責任者リンゼイ・ロスナー氏は「FRBの利下げに向けたレースが始まった。FRBは9月に利下げを行った後、あと2回追加利下げを行うとみている」と語った。

LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「世界経済が新たなショックに見舞われない限り、FRBは9月に0.25%ポイントの利下げを行う可能性が高い」との見方を示した。ただ、投資家は最近の出来事に依然として懸念を抱いているため、0.5%ポイントの利下げを行う可能性も高まっていると指摘した。

<住宅費0.4%上昇>

家賃など住宅費が0.4%上昇し、CPI上昇分のほぼ90%を占めた。6月は0.2%上昇だった。帰属家賃(OER)は0.4%上昇。伸びは前月の0.3%から加速した。

食品は0.2%上昇。6月の上昇率と同水準だった。ガソリン価格は横ばい。6月までは2カ月連続で下落していた。

エネルギーを除くサービス費は0.3%上昇。6月は0.1%上昇していた。自動車保険料が1.2%上昇したことなどで押し上げられた。

コア財価格は0.3%低下。6月は0.1%低下していた。新車が6カ月連続で低下したほか、中古車とトラックも低下。衣料品も低下した。

ロイター
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