肥満薬需要急増で来年米雇用主の医療費負担加速へ=民間調査
11月17日、コンサルタント会社マーサーは、新しい肥満症と糖尿病治療薬の需要急増で、来年は米国の雇用主が負担する医療費の増加が加速する見通しを示した。写真はノボ ノルディスクの肥満薬。ノルウェーのオスロで8月撮影(2023年 ロイター/Victoria Klesty)
Leroy Leo Khushi Mandowara
[17日 ロイター] - コンサルタント会社マーサーは17日、新しい肥満症と糖尿病治療薬の需要急増で、来年は米国の雇用主が負担する医療費の増加が加速する見通しを示した。
マーサーのチーフ・ヘルス・アクチュアリー、スニット・パテル氏はロイターのインタビューで、米食品医薬品局(FDA)が承認したGLP─1受容体作動薬と呼ばれる医薬品が、医療費負担の伸びを50─100ベーシスポイント(bp)押し上げる可能性があると指摘した。
マーサーが、事業者が提供する医療保険の加入者約13万4000人を代表する雇用主約1900人を対象に行った調査では、米雇用者は来年の医療費負担は平均5.2%上昇すると見込んでいる。
GLP─1製剤の使用増加が、このような医療保険プランの下での薬剤費の増加に顕著な影響を及ぼしている。薬剤費は、2023年が前年比8.4%増で、2022年は同6.4%増だった。
これらの製剤に関係する費用増は医薬品の価格と患者数の増加の両方が原因だ。GLP─1は食欲を抑えて、膨満感を長続きさせる作用があり、薬価は、通常患者1人当たり月1000ドル程度。
雇用主はGLP─1製剤の糖尿病治療薬としての使用で保険適用を認めているが、肥満症治療薬としての保険適用を巡っては議論が続いている。マーサーによると、現在、大企業の約5分の2が肥満症治療を目的のGLP─1製剤使用に保険を適用しており、さらに19%が保険適用を検討している。