ニュース速報
ビジネス

オアシス、CTC株の買取請求権行使も1つの選択肢 非公開化で

2023年11月16日(木)14時30分

Makiko Yamazaki Shinichi Uchida Ritsuko Shimizu

[東京 16日 ロイター] - 香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントのセス・フィッシャー最高投資責任者は16日、伊藤忠商事が非公開化を目指している伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)株式について、保有株の買い取り請求権の行使も1つの選択肢になるとの見解を示した。ロイターなどに語った。

フィッシャー氏は「取引が不公平な場合、株主には、買い取り請求権などを含む権利がある。おそらくそういった権利を追求していくことになる」と述べた。

11月7日提出の大量保有報告書によると、オアシスはCTC株6.42%を保有している。

同氏は合併による恩恵が買収価格に反映されていないと指摘。「合併のメリットは理解しているが、そのメリットは伊藤忠だけでなく株主全員のものだ」と述べ、買取価格が低すぎるとの認識を示した。

伊藤忠商事は、CTC株1株当たり4325円でCTC株をTOBすると発表。これは8月2日のTOB発表前日の終値に18.7%のプレミアムを上乗せしたものだった。

CTCは14日の臨時株主総会で伊藤忠による完全子会社化に向けた株式併合などの議案を可決、承認した。CTC株は12月1日に上場廃止、5日に株式併合の効力が発生する予定で、併合後は伊藤忠商事と公開買い付け者以外の株主が保有する株式は1株未満の端数になる見込みとなっている。

フィッシャー氏は、企業買収時の少数株主保護のために日本がやるべきことは「まだたくさんある」と指摘する。

買収価格を巡っては、アルプスアルパインに対しても、2019年のアルプスとアルパインの合併時の株式交換比率がアルパイン株主にとって不利として合併の無効を求めている。10月には最高裁判所に上告した。アルプスアルパインはカーナビメーカー・アルパインの40%を保有していたアルプスが残りのアルパイン株式を株式交換で買い取り、誕生した。 アルパイン株を当時9.9%保有していた第2位株主のオアシスは合併に反対していた。フィッシャー氏は、適切な価格による買収の前例を作るという点で「アルパインの訴訟は非常に重要だ」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

2月完全失業率は2.4%に改善、有効求人倍率1.2

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア

ビジネス

アーム設計のデータセンター用CPU、年末にシェア5

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中