肥満症治療薬メーカーへの投資拡大、第3四半期の証券取引動向

写真はイーライリリーの研究施設。3月1日、米カリフォルニア州サンディエゴで撮影(2023年 ロイター/Mike Blake)
Carolina Mandl
[ニューヨーク 14日 ロイター] - 肥満症治療薬の需要増加を背景に、一部の機関投資家が第3・四半期にイーライリリーやノボノルディスクといった製薬会社への投資を拡大したことが14日、証券当局へ提出された資料で明らかになった。
ノボノルディスクの肥満症治療薬「ウゴービ」や「オゼンピック」、イーライリリーの「マンジャロ」や「ゼップバウンド」は、血糖値の制御と劇的な減量を促す効果があることが示された。
こうした好材料に支えられ、イーライリリー株は第3・四半期に14.5%上昇、年初来では67%値上がりした。同社株の保有高を第3・四半期に大きく増やした機関投資家には、JPモルガン・チェース、ブラックロック、バンガードに加え、ヘッジファンドのトゥー・シグ、タイガー・グローバル・マネジメント、コーチュー・マネジメントなどが名を連ねている。
JPモルガンはイーライリリー株の保有株数を160万株余り増やした。
またフィデリティ・インベストメンツ、ラザード・アセット・マネジメント、Tロウ・プライス、ソロス・ファンドなどは、ノボノルディスクの米国預託証券(ADR)を追加購入した。同社のADRは第3・四半期に12.4%上昇、年初来では45.8%上がった。
一方、ウェリントン・マネジメント・グループやカリフォルニア州公務員退職年金基金(CalPERS)、ブリッジウォーター・アソイエイツなどの機関投資家は、イーライリリー株の保有高を縮小。マーシャル・ウェイスやルネッサンス・テクノロジーズはほぼ全て手放した。
これらの機関投資家は、イーライリリー株があまりにも速いペースで値上がりしてきた上、この先は他の製薬会社との競争が予想されることへの不安から保有高を減らしたようだ。
LSEGデータストリームによると、業績見通しに基づく株価収益率(PER)は現在、イーライリリーが54倍、ノボノルディスクが34倍。これに対しS&P総合500種全体では18.3倍となっている。