来年6月めどに所得減税、給付と併せ5兆円規模に=政府・与党筋

岸田文雄首相が検討を指示した税収増の還元策について、政府が所得税などで4万円の減税を検討していることが分かった。写真は、2023年9月20日にNYで会見する同首相。(2023年 ロイター/Bing Guan)
Takaya Yamaguchi Yoshifumi Takemoto
[東京 25日 ロイター] - 政府・与党が検討を急ぐ「税収増の還元策」の概要が25日、分かった。定額減税では、所得税と住民税の増収分3.5兆円を念頭に1人あたり4万円を還元。実施時期は2024年6月と想定している。減税に先立つ低所得者世帯への給付と併せ、5兆円規模の支援策となる見通しだ。複数の政府、与党関係者が明らかにした。
納税額にかかわらず一定額を差し引く定額減税では、所得税3万円、住民税1万円の計4万円とする案が出ている。納税者本人に加えて扶養親族も含める方向で、平均世帯人数2.2人で換算すると1世帯では約9万円の減税となる。
減税額や時期などを盛り込んだ税制関連法案を来年1月召集の通常国会に提出し、年度末までの成立を目指す。
決算税収のうち、20年度に19.2兆円だった所得税収は22年度に22.5兆円に増えた。住民税は22年度に13.6兆円(20年度は13.4兆円)となっており、これらの増収分を分かりやすく還元することで、物価高に伴う家計負担を和らげる狙いがある。
減税措置に先立ち、低所得の子育て世帯に向けた支援も拡充する。住民税非課税世帯を対象にした7万円の現金給付に加え、定額減税の恩恵を十分に受けられない人が出ないようにするため、重点支援地方交付金による追加支援を検討する。
追加給付案は、政府が11月2日に閣議決定する総合経済対策に盛り込み、財源の裏付けとなる23年度補正予算成立後に速やかに実施する運びだ。
岸田文雄首相が26日の政府与党政策懇談会で、還元の具体策検討を正式に指示する。結論を得るまでの曲折も予想され、最終的な支援額は変動する可能性がある。
(山口貴也、竹本能文 編集:田中志保、久保信博)