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円高進めばマイナス金利深掘り「唯一の選択肢」=門間元日銀理事
12月17日、元日銀理事でみずほ総合研究所・エグゼクティブエコノミストの門間一夫氏はロイターとのインタビューで、日銀の金融政策について、海外経済のリスクが高まり急速に円高が進行した場合、マイナス金利の深掘りが「唯一実行可能な」政策手段になると言及した。日銀本店で1月撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)
浜田寛子、木原麗花
[東京 17日 ロイター] - 元日銀理事でみずほ総合研究所・エグゼクティブエコノミストの門間一夫氏は17日、ロイターとのインタビューで、日銀の金融政策について、海外経済のリスクが高まり急速に円高が進行した場合、マイナス金利の深掘りが「唯一実行可能な」政策手段になると言及。マイナス金利の深掘りを実行する場合は、当座預金の三層構造の調整など副作用対策が必要になると指摘した。2020年の日本経済については、景気後退は避けられるが力強い回復とはならないとし、1%か、それを下回る成長ペースが続くと予測した。
日銀の金融政策について門間氏は「ほとんどやれることは残っていないだろう」と手詰まり感を指摘した上で、海外経済の下振れリスクが高まり、円高が進行した場合、「マイナス金利の深掘りが唯一実行可能な政策手段になるだろう」と語った。
ただ、マイナス金利を深堀りする場合は「世間の批判を和らげる最大限の努力は別途必要になってくる。何か副作用対策を同時に行うだろう」と述べた。具体的には、日銀当座預金の三層構造のうち、プラス0.1%の金利が適用される基礎残高部分を拡大したり、超長期金利の過度の低下を防ぐため、コミュニケーションによる「ゆるやかなフロア」を設定する、といった案があるとした。
一方、日銀が掲げる2%の物価目標は、位置付けが変化していると言及。「これまで、2%は実際に達成すべき目標と考えられていたが、今はそうではない。実際に(2%を)達成できないという現実があるので、いかに2%になりそうな環境になるのを待つか、という姿勢に変わってきている。アクティブなターゲットではなく、パッシブなターゲットになっている」との見解を述べた。
日本経済の展望については「景気後退は避けられるが、目に見えて力強い回復をするという展開にはなりそうもない。1%、ないし、それを下回る程度の成長ペースが続くのではないか」と述べた。
その背景として「GDPに占める設備投資は過去の循環のピークを超え、今後さらに力強く増えていくという展望もしにくい」と指摘。一方で、製造業の生産の落ち込みは下げ止まり、安定するのではないかと予測する。
政府が閣議決定した事業規模26兆円の経済対策については「日本経済の成長に対して年度ベースで0.1%から0.2%程度のプラスにはなるが、2020年度の経済成長を押し上げるということにはならないだろう」と予測。海外発のショックが起きた場合の政策対応に関しては「今の日本の資金循環の状況からすると、民間に膨大な余剰資金があるので、財政がすぐに何もできなくなるという状況にはならない。さらに財政面から景気のテコ入れをするということは十分に可能」との見方を示した。
世界経済については今年と同程度の成長率が展望できるとの見通しを示した。
(編集:石田仁志)