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世界貿易機関は、2025年世界のモノの貿易の見通しを10月時点の3.0%増から0.2%減に大幅に引き下げた。3月6日、カリフォルニア州オークランドで撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria/File Photo)
Olivia Le Poidevin Philip Blenkinsop
[ジュネーブ 16日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)は16日、2025年世界のモノの貿易の見通しを10月時点の3.0%増から0.2%減に大幅に引き下げた。トランプ米政権が発表した関税とその波及効果により、新型コロナウイルス感染拡大のピーク以来、最悪の落ち込みにつながる可能性があるとした。
WTOのオコンジョイウェアラ事務局長は「世界の商品貿易の伸びの縮小は大きな懸念だ」と語った。
トランプ米大統領は、鉄鋼と自動車の輸入に追加関税を課したほか、より広範な相互関税を導入後、適用の一時停止を発表するなど方針が二転三転。中国との貿易戦争も激化しており、報復合戦によって互いの輸入品への関税率が100%を超える事態となっている。
WTOは、トランプ大統領が広範な関税を全て導入した場合、物品貿易の伸びは0.6%ポイント低下すると予想。米国関連の貿易以外への波及効果によりさらに0.8%ポイント低下するとした。これらを合わせると最大で1.5%減と、2020年以来最大の減少となる見通し。
オコンジョイウェアラ事務局長はまた、中国と米国経済のデカップリングが最大の懸念だとも指摘。WTOは両国間の物品貿易が81%減少すると推定しているが、スマートフォンなどの製品に対する免除がなければ減少幅は91%に達する可能性があるという。
オコンジョイウェアラ氏は「もしデカップリングが、地政学的な境界線に沿って世界経済を二つの孤立したブロックに分裂させるようなことになれば、広範囲にわたる影響を及ぼすとみられる」と述べた。
このシナリオでは、世界の国内総生産(GDP)は長期的に7%縮小する可能性があるという。