コラム

嘘つき大統領トランプがアメリカの民主主義を打ち砕く

2019年10月16日(水)17時25分

アメリカの有権者の過半数は今回の弾劾調査を支持している。だが、共和党内でのトランプの支持率はいまだ80%に達する。共和党指導部は、離反すればトランプの怒りを買い、支持基盤である白人ナショナリスト層の票を失うと恐れてか、トランプの弾劾を阻止する構えのようだ。

ミッチ・マコネル共和党上院院内総務は「弾劾プロセスは私のところで止まる」と発言。共和党関係者は一致団結して、弾劾調査は党利党略に基づく根拠のない攻撃だと批判している。

憂慮すべきは、トランプが罷免されようと首をつないで嘘をつき続けようと、アメリカの民主主義が今後も腐り続けるということだ。トランプと共和党による支配が終わったとき、後に残るのは傷だらけの政府と半永久的に損なわれた民主主義、あるいはもっと悪い事態だろう。

弾劾劇は歴史的に重要な意味を持つ。しかしその主役たちは今この瞬間にも、アメリカの理念や社会的結束、繁栄を着々と破壊し続けている。

<本誌2019年10月22日号掲載>

【参考記事】アメリカをめちゃくちゃにしたトランプ、それでも支持する労働者たちの「思い込み」
【参考記事】ロシア疑惑とはまったく違う、ウクライナ疑惑の中心人物はトランプ本人

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※10月22日号(10月16日発売)は、「AI vs. 癌」特集。ゲノム解析+人工知能が「人類の天敵」である癌を克服する日は近い。プレシジョン・メディシン(精密医療)の導入は今、どこまで進んでいるか。


プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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