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自民党はなぜ杉田水脈議員の暴走を止めないのか
しかし当の杉田水脈議員は、一連の差別発言について反省する素振りすら見せず、X等で差別を煽るような投稿を繰り返している。その副作用として、SNSを中心に杉田議員の差別発言を擁護する動きが発生しており、そのことによりマイノリティへのヘイトが再生産されるという悪循環が生じている。
たとえば、「在日特権」というデマがある。日本にいる在日コリアンは、様々な優遇措置を国や地方から受けているというもので、10年ほど前「在日特権を許さない市民の会(在特会)」という排外主義団体が繰り返し主張してヘイトデモを繰り返したことで話題になった。「在日特権」の存在は様々な専門家により否定されており、たとえば比較的早期に在特会を取材したジャーナリスト、安田浩一氏の著書『ネットと愛国』でも、「在日特権」と呼ばれる数々のことはデマあるいは「特権」と呼べる代物ではないと示されている。。安田氏は2016年にヘイトスピーチ解消法が成立した際にも、テレビ番組で「在日特権」は存在しないという言質を自民党議員からとっている。
「在日特権」デマは在特会の衰退もあり、近年ではほとんど聞かれなくなった。しかし共同通信が過去に杉田議員が「在日特権」について言及していたことを記事にし、その記事について杉田議員が「言論の自由」と開き直ったことで、再びこのデマがネットで復活しようとしている。
このヘイトスピーチの再生産を止めるには、暴走している本人はともかく、所属政党である自民党が何らかの処分を下すことが必要だろう。本人の意志に反して衆議院議員を辞職させることはできないとしても、離党させることなどは出来る。しかし自民党はまだ、杉田議員に対する対応を何も示していない。
問題の根源は歴史修正主義
なぜ自民党は「人権侵犯」認定をされた杉田議員に対して何も対応しようとしないのか。そもそもこうした差別発言を繰り返してきた杉田議員が、なぜ今なお自民党の議員を続けていられるのか。いや、このような疑問を持つこと自体が間違っているのかもしれない。なぜなら、上述のような差別発言を繰り替えしてきた人格こそが、自民党が杉田議員をスカウトした理由と思われるからだ。
「人権侵犯」認定をされた先述の在日コリアン及びアイヌに対するヘイトスピーチは、2016年にスイスで開かれた国連女性差別撤廃委員会に、当時議員落選中の杉田氏が参加したときに行われたものだ。杉田氏がこの委員会に行ったのは、日本軍「慰安婦」問題について、「慰安婦」の性奴隷性の事実を否定するためだった。
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