インバウンド再開で日本経済に期待大。だが訪日中国人がいま少ないのは「良いこと」
「お金のまなびば!」より
<インバウンドで景気回復するか、プロ注目の業界はどこか。コロナ禍のリストラで観光業界は人手不足だが......。レオス・キャピタルワークスの藤野英人氏と三宅一弘氏が2023年の日本経済を予測する>
2022年10月、政府はインバウンド消費5兆円超を達成するため、2025年までに集中的な取り組みを行う方針を決定した。水際対策緩和により街で訪日外国人を見る機会も増えたが、以前のような活気は戻るのだろうか。
日本の資産運用会社、レオス・キャピタルワークスが運用するYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」で公開された「【有識者が語る】インバウンドで景気回復!?プロ注目の業界は?」では、同社最高投資責任者の藤野英人氏、運用本部経済調査室長の三宅一弘氏がインバウンドへの期待を語り合った。
インバウンド需要のピークは2019年で、訪日外国人数は年間約3200万人、直接的な消費額は約5兆円に達した。三宅氏は、
「当時の安倍晋三政権によるインバウンドの規制緩和は波及効果もあり、地方景気や地方創生に大きな役割を果たしていたが、コロナでそれもゼロになった。2023年以降、インバウンド効果により地方の景況感が改善する可能性がある」と、期待を膨らませる。
訪日外国人は戻りつつあるが、特筆すべきは、今は以前に比べて中国人観光客が少ないことだろう。これは日本経済にとって大きな痛手のように思えるが、藤野氏は「とても良いこと」と語る。
なぜならピーク時のように3000万人の外国人が来ても、今の日本には対応できるキャパシティがないからだ。藤野氏は言う。
「日本の商品は高品質で安い。評判が評判を呼び、訪日した第1陣が帰国して評判を広めたら、第2陣、3陣が来るのではないか。でも今は、コロナの間にリストラをして、ぎりぎりの状態で回している会社が多い。これから少しずつサービストレーニングをして、第2弾で中国人がやって来たときに対応できる状態にしておけば理想的だと思う」
藤野氏、三宅氏の両名が「インバウンドは大いに期待できる」と回答。では具体的に、好影響が見込めるのはどういった産業だろうか。
運輸業、観光業、流通業、人材派遣......幅広い業種にプラス
藤野氏によると、インバウンド関連で真っ先に市場が反応したのが運輸業。次いでホテルや土産店など、地域の観光に関連した会社だ。これから百貨店、スーパーなど、流通業にも消費拡大の一環として恩恵が及ぶと予想する。
「幅広い業種・産業にプラスの効果がある。人手不足が深刻な状態なので、人材派遣・人材紹介も急速にビジネスを拡大している」と、藤野氏は言う。
特に地方では、慢性的な人手不足の中で新たな需要が爆発したら対応が困難になる可能性が高い。そこで、ITや省力化、DX(デジタルトランスフォーメーション)分野での投資が活発になっているという。
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