コラム

講義を聞く猫 ── オンラインコミュニティから進む韓国の野良猫対策

2016年02月23日(火)18時45分


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 ソウル市が市民団体に委託して運営する猫給食所もある。主に市内の大きな公園(ワールドカップ公園、龍山家族公園、ソウルの森など)の中にある。ソウル市の場合は、公園にキャットフードをばらまくだけで後片付けをしない人が多く悪臭がひどいという苦情から始まった。

 この苦情はソウル市のホームページにある「Mvoting」コーナーに寄せられたものである。Mvotingは市民が苦情を掲載し、市民が解決策を投票で決めていくオンラインコミュニティである。ここで登場した解決策がソウル市江東区のような猫給食所の運営である。「猫と人間が共存するためえさをあげることを止めてはならない。ただし、えさやりの場所を決めて猫も人間も安心して暮らせるようにしないといけない。猫にえさをあげたい人は猫給食所宛にキャットフードを寄贈するようにすればいい」という案に大勢が賛成し、ソウル市が動くことになった。ソウル市は2016年上半期まで猫給食所にやってくる猫の7割に避妊手術をする計画である。

 SNSやオンラインコミュニティから火が付いたキルゴヤンイ対策のおかげで、韓国にも猫好きが増えている。ソウル市内でも猫カフェをよく見かけるようになった。日本に猫の駅長がいるなら、韓国には警察猫がいる交番がいくつもある。警察猫といっても警察官の心を癒すのが主な任務のため何もせず寝てばかりいる。猫の写真集や猫グッズもどんどん増えてきた。韓国でもネコノミクスが話題になりそうだ。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

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