コラム

国連選定「電子政府世界1位」の韓国で国民番号制度見直しの動き、日本のマイナンバーは?

2015年09月02日(水)21時45分

 住民登録番号があると楽な反面、番号流出によるなりすまし問題と被害は日に日に深刻になってきた。他人の住民登録番号を盗んで携帯電話に加入する、口座を作る、オークション詐欺をするなど、あらゆる犯罪が登場した。これを受けて、韓国政府は住民登録番号に代わるネット上の本人認証システム「i-PIN」を導入。2015年8月からは個人情報保護法を強化し、民間企業は住民登録番号を収集できないようにした。

 日本でマイナンバーが初めて導入される今は、番号制に対する戸惑いや、個人情報流出の不安があるかもしれない。しかしマイナンバーによって、税金と年金をしっかり管理できることは間違いない。韓国のような電子政府サイトも登場するだろう。マイナンバーに慣れた頃には、便利だから民間企業もマイナンバーで本人確認をしようとか、マイナンバーで個人情報を管理しようとか、そういう話が出てくるかもしれない。その時は韓国のことを思い出して、慎重になってほしい。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

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