コラム

民主党予備選で着実に支持を上げるエリザベス・ウォーレン

2019年09月11日(水)18時00分

前回の予備選ではサンダース支持、本選ではヒラリー・クリントンに票を投じたという女子大生は、今回はウォーレンを支持している。今回サンダースを支持しない理由を尋ねたところ、「サンダースは前回とまだ同じことを語っている。また、彼と彼のキャンペーンは怒りが強い。ウォーレンは政策的には似ているが、前向きであり、候補にも温かみがある」というものだった。

wata190911-demo0202.jpg

ウォーレンの陣営でボランティアをしている女性は「ウォーレン以外ありえない。ウォーレンのみ」と断言(筆者撮影)

こういった支持者の態度を最も鮮やかに示したのが、候補がステージに上がったときの聴衆の反応だ。

主要候補のビデオを撮影したので、実際に映像を比較してみてほしい(ビデオは登場順)。

▼ジョー・バイデン


Joe Biden - NH Democratic Party Convention cheer from yukari watanabe on Vimeo.

▼ピート・ブーティジェッジ


Pete Buttigieg - NH Democratic Party Convention cheer - from yukari watanabe on Vimeo.

▼カマラ・ハリス


Kamala Harris - NH Democratic Party Convention cheer from yukari watanabe on Vimeo.

▼バーニー・サンダース


Bernie Sanders - N.H. Democratic Party Convention cheer from yukari watanabe on Vimeo.

▼エリザベス・ウォーレン


Elizabeth Warren - N.H. Democratic Party Convention cheer from yukari watanabe on Vimeo.

▼アンドリュー・ヤング


Andrew Yang - N.H. Democratic Convention cheer from yukari watanabe on Vimeo.

バイデンが登場したときの、礼儀正しいが生ぬるい反応や、サンダースが登場したときに聞こえてきたブーイングにくらべ、ウォーレンの場合には、彼女が登場する前から聴衆が名前を連呼して盛り上がっていた。そして、登場後もなかなか拍手がおさまらず、ウォーレンが感動して胸に手をあてて感謝する場面があった。

この大会の直後に発表されたABC/ワシントン・ポストの世論調査では、バイデン(27%)、サンダース(19%)、ウォーレン(17%)だった。ここで注目すべきなのは、7月に行われた同じ世論調査と比較したとき、バイデンとサンダースがそれぞれ2ポイントと4ポイント減少していたのに対し、ウォーレンが6ポイント増加していたことだ。ここにもウォーレンの支持が上昇している勢いを感じる。

また、前回の大統領選では、若者の間ではサンダース支持が格好良いことであり、クリントン支持者は肩身が狭い思いをした。だが、私が話を聞いた若者たちによると、ニューハンプシャーや隣のマサチューセッツの大学生の間では、圧倒的にウォーレン支持者が多いのだと言う。ウォーレン陣営がテーマカラーとして選んだターコイズブルーでオシャレをした若者たちが民主党大会の会場を練り歩く姿に、2016年のクリントンと現在のウォーレンの違いを強く感じた。

彼女たちが強く語ったのは、「40%がトランプを支持していても、それ以上が支持していても関係ない。すべては、人々が投票所に行くかどうかにかかっている。有権者が『投票するのが待ちきれない』と感じる候補であれば勝てる。安全重視で選んだら失敗することを前回の選挙が教えてくれたのではないか?」ということだ。

202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

渡辺由佳里

Yukari Watanabe <Twitter Address https://twitter.com/YukariWatanabe
アメリカ・ボストン在住のエッセイスト、翻訳家。兵庫県生まれ。外資系企業勤務などを経て95年にアメリカに移住。2001年に小説『ノーティアーズ』(新潮社)で小説新潮長篇新人賞受賞。近著に『ベストセラーで読み解く現代アメリカ』(亜紀書房)、『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社)などがある。翻訳には、レベッカ・ソルニット『それを、真の名で呼ぶならば』(岩波書店)、『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経BP社、日経ビジネス人文庫)、マリア・V スナイダー『毒見師イレーナ』(ハーパーコリンズ)がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 5

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 6

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story