アフガニスタン、タリバン「報復しない」は偽り? 地方一家が恐怖を証言
アフガニスタン東部ナンガルハール州の支配権を奪還したイスラム主義組織タリバンは、長年の仇敵への報復を開始した。地元政界の名士であるアジュマール・オマル氏を捜索する傍ら、タリバンは同氏の先祖代々の家を爆破した。写真は破壊された家。23日撮影。提供写真(2021年 ロイター)
8月、アフガニスタン東部ナンガルハール州の支配権を奪還したイスラム主義組織タリバンは、長年の仇敵への報復を開始した。
地元政界の名士であるアジュマール・オマル氏(37)を捜索する傍ら、タリバンは同氏の先祖代々の家を爆破した。オマル氏は1年前にタリバン武装勢力をナンガルハール州から追放するのに貢献し、アフガンの若者たちがタリバンに参加しないよう説得を試みていた。
タリバンはオマル氏保有の金品や自動車を略奪し、数人の親族を拘束・拷問して彼の所在を突き止めようとした。
一連の出来事を証言したのは、報復の対象とされたと語る2人の親族、事件を目撃したか、詳しく知る立場にあった10人の地方当局者及び住民、そしてアフガン情報機関の元職員1人だ。
ロイターでは独自の裏付けを得られなかったが、これらの情報提供者から得られた画像には、大破した邸宅や、タリバンによる殴打が原因だという傷を負った家族の姿が映し出されている。
オマル氏本人は潜伏中であり、安全上の懸念があるとして、この記事へのコメントを控えた。
タリバンは8月15日に権力を奪還した直後、国際社会とかつての対立勢力を安心させることを狙って、報復を行わない旨を表明した。
だがオマル氏の家族は、自分たちの経験はそうした約束とは矛盾していると話す。
オマル氏の親族の1人は匿名を条件に、「自分たちがこんな風に標的になるとは誰も想像していなかった」と語る。「タリバンは前政権のために働いた者を罰することはないと言ったが、彼らが私たちにやったことはその正反対だ」
オマル氏の親族と地元住民が語った状況について、またタリバン打倒を支援するための同氏の取り組みについてタリバンの報道官に質問したが、いずれも回答は得られなかった。
タリバン政権の閣僚の1人はロイターに対し、国内各地の指揮官らが元政府当局者の自宅やオフィスを強制捜索し、武器や装甲車両を押収したと述べたが、オマル氏の親族が受けたような懲罰については関知していないと語った。