最新記事

性スキャンダル

タイガーが暴露症の女ばかり選んだ理由(アーカイブ記事)

2021年2月24日(水)15時39分
ローラ・キプニス
元妻エリン・ノルデグレンとタイガー・ウッズ(2009年)

フロリダで当時の妻エリン・ノルデグレンとNBAの試合を観戦するウッズ(2009年6月) Hans Deryk-REUTERS

<2月23日にウッズが自動車事故で大怪我をしたニュースは全米で大きく取り上げられている。ウッズは、これまでも車がらみの事故や事件を繰り返してきたからだ。以下は、多くの女性との浮気が発覚して妻と離婚する結果を招いた2009年の事故の後、セレブ選手の心の危うさを指摘した記事[2010年9月12日]掲載>

タイガー・ウッズとの離婚の件について公の場で話をするのはこれが最初で最後──というのが先週のピープル誌に載ったウッズの元妻で「非常にプライベートを大切にしている」時の人、エリン・ノルデグレンの独占インタビューの謳い文句だった。

ウッズが口の軽い何人もの愛人たちとあまり上品とは言えない振る舞いに及んだのは、世界中が知っての通りだ。ウッズへの怒りや思い出(そして携帯電話に送られてきたメール)とともに、元愛人だと名乗り出てきた女性の数は、今の時点で十数人に上る。

私はエリンの苦しみなど大したことはなかったと言うつもりはない。だが「非常にプライベートを大切にする」と形容されている人が、そのプライベートな苦しみを大手雑誌で公表するというのは、今の時代らしい興味深い矛盾だと思う。

そこで疑問が頭をもたげる。ウッズは自分との関係を世間に言いふらすような女性が好きだったのか? ブロンドや巨乳が好みのタイプだった(元愛人たちの写真を見る限りそう思える)のと同じように。

それともこのように情報が出回ること自体、インターネットが普及し移り変わりの激しい今の時代が、次から次へと新たなスキャンダルを求めていることの象徴なのか?

ファンこそ最も危険な存在

確かなことがひとつある。かつてなら表沙汰にはならなかった問題(性的関係をめぐる失望とか)を切り抜けるための手段として、メディアなど公の場が利用されるケースは明らかに増えている。

かつて人々は、小説を読んでプライベートな生活とはどんなものかを理解した。だが今は本を読む必要もない。他人の感情的な問題について、余すところなく詳細なコメントが次々と公表されるのだから。

おかげでウッズの不倫もセレブの特権的な性生活の実情も私たちの知るところとなった。もしあなたがセレブ(もしくはセレブ志望)なら気をつけたほうがいい。一夜の相手があなたとのセックスの出来や嗜好を、シーツが乾く間もなくツイッターに流すかもしれない。眠っているあなたの裸体を携帯電話のカメラで写すかもしれない。

ウッズのスキャンダルからセレブたちが学ぶことがあるとすれば、事に及んだ後であなたを売る危険性が最も高い人種、それはファンだということだ。

ツイッター全盛のこの時代に火遊びに手を出しつつもスキャンダルと無縁でいたいと思ったら、優れた心理学者になるしかない。(ウッズのように)さらし者になってしまう人とそうでない人がいるのは、その辺の能力の違いによるものだろう。

心理学者になったつもりでよく考えてみよう。セレブとのセックスにはどんな魅力があるのか?

セレブにはたいていカリスマ性があるし、オーラがある。全員ではないがルックスもいい。2人の間に強く引きつけあう何かが感じられたのかもしれない。

だが一番の魅力は、自分が特別な存在になったような気にさせてくれることだ。「誰でもよりどりみどりだというのに、あの人は私を選んでくれた」

セレブに近づきたい女性たち

ところが困ったことに、華やかなセレブとお近づきになりたいと思い焦がれる人に限って、平均を上回る不安感や自己不信感にさいなまれていたりすることが多い。

ウッズの元愛人たちの写真を見て私が気になるのは、ルックスもさることながら性格にも共通点が見て取れる点だ。

お色気を売りにして人々の注目や支持、できれば富、そしてひょっとしたら愛までも手にしたいと強く望んではいる人々。その一方でとりあえず手に入るもので満足しようともしている──。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、金利見通しを巡り 円は3日

ビジネス

米国株式市場=ダウ6連騰、支援的な金融政策に期待

ビジネス

EXCLUSIVE-米検察、テスラを詐欺の疑いで調

ビジネス

米家計・銀行・企業の財務状況は概ね良好=クックFR
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    習近平が5年ぶり欧州訪問も「地政学的な緊張」は増すばかり

  • 4

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 7

    迫り来る「巨大竜巻」から逃げる家族が奇跡的に救出…

  • 8

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中