最新記事

中国

米議事堂乱入に中国は「狂喜」するが......信じたいアメリカの修復力

2021年1月10日(日)18時41分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

トランプ支持者が議会突入 Shannon Stapleton-REUTERS

トランプ支持者の米議事堂乱入を見て中国の環球時報は喜びを隠し切れず、中国のネットユーザーは狂喜乱舞している。米中覇権において中国に有利に働いているが、しかしそれでもアメリカ民主主義の修復力を信じたい。

嫌味たっぷりの「環球時報」報道

中国共産党機関紙「人民日報」傘下にある「環球時報」電子版「環球網」は1月7日、「華春瑩、アメリカの"国会占領"に回答:アメリカ人民が一日も早く平和安定と安全を享受することを希望する」という見出しで社評を載せた。

それによれば華春瑩は定例記者会見で以下のように述べている。

(リンク先の彼女の自信に満ち満ちた「ざま―見ろ!」と言わんばかりの勝ち誇った表情をしっかりご覧になりながら、お目通し頂きたい。)

――アメリカ人民が一日も早く平和安定と安全を享受することができるように希望します。皆さん、2019年の香港における修正案に対する風波(抗議運動)に対して、アメリカの一部の人たちがメディアに対して何と言ったか覚えておられますよね?中国のネットユーザーたちも強い関心を以てアメリカのこの騒動を注意深く見ています。なぜなら、この光景は香港での光景と非常に似ているからです。

でも、この同じ光景に対して、なぜか、アメリカの一部の人(=ペロシ下院議長)とメディアは、全く異なる言葉で表現していましたね。どんな言葉を使っていましたっけ?

そう、「美しい光景だ」と言っていませんでしたか?

そして香港政庁を襲う暴徒を「民主の英雄」と讃えていませんでしたか?

さて、このたび、多くのトランプ支持者がホワイトハウス、米議会議事堂に乱入しました。おまけに死者まで出しています。この人たちは「暴徒」ではないんですか?

アメリカのメディアはホワイトハウス乱入者を「暴徒」「暴力事件」「テロリスト」「国家の恥辱」と攻め立てていますね。アメリカの一部の人に再び聞きましょう。死者を出しても、アメリカならば、これらの乱入者は「民主の英雄」なのですか?

現象が同じなのに、表現が全く異なるのは興味深いことです。私たちはこの事実を深く見つめなければなりません。コロナ禍で大変な中、私はアメリカ人民の平和安定と安全を祈ります。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英国でのIPO計画が増加、規則改正控え=ロンドン証

ビジネス

円安で基調物価上振れ続けば正常化ペース「速まる」=

ワールド

ロシア、ウクライナのエネルギー施設に大規模攻撃 停

ビジネス

韓国現代自、米EV工場でハイブリッド車も生産へ=幹
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 5

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 6

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 7

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽…

  • 8

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 9

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 10

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中