津波で200人以上死亡、原因は火山活動? 最後まで大災害が続いた2018年のインドネシア
津波に襲われた翌朝の現地のようす Channel NewsAsia / YouTube
<クリスマスを前にしたインドネシアで津波が発生、調査が進むにつれ被害の大きさが明らかに──>
インドネシアのジャワ島とスマトラ島の間のスンダ海峡で12月22日午後9時半(日本時間午後11時半)ごろ、津波が発生し、ジャワ島西部のバンテン州バンテン県、セラン県、スマトラ島南部のランプン州ランプン県などの海岸沿いの地域に押し寄せ、当局の発表によるとこれまでに200人以上の死亡が確認され、800人以上が負傷しているもようだ。
インドネシアの気象当局によると津波発生以前に同地域での大規模な地震は計測されていないという。このため、同海峡にあるクラカトア火山の噴火など火山活動による海底での地滑りが津波を引き起こした可能性があるとみて調査を続けているという。
活発な活動で形を変えてきたクラカトア火山
同海峡のクラカトア火山は、火山活動の活発なインドネシアでもとりわけ盛んな噴火によって形を変えながら活動を続けている火山島群の総称。1883年に噴火した際には、噴火に伴う津波が周辺地域に押し寄せ3万人以上が死亡したといわれている。また1927年の噴火活動でできたアナック・クラカトア島では現在も活発な火山活動が続いており、今回の津波と関連性があるという見方もでている。
インドネシアの民放テレビ局などによる現地からの映像では、コンサート会場でステージの背後から突然津波が押し寄せる様子や、前触れもなく高さ数メートルの波が住宅地区に押し寄せる様子が記録されていた。現地では津波の高さが1メートルだったとの報道もあるが、発生時間が夜だったことから情報が錯綜している。
国家災害対策庁(BNPB)などによるとこれまでにバンテン県セランやパンデグランなどの地域で430以上の家屋と9軒のホテルが被害を受けたほか、海岸に停泊していた船舶多数も被害を受けたという。スマトラ島のランプン県でも家屋30軒が被害を受け、89人が負傷したと報道されており、被害はさらに増えるとみられている
現地メディアは当初「津波」と伝えたもののその後、「地震がなかったので津波ではない」との見方を示したが、その後再び「津波」の可能性が高いとして報道している。現場海域は22日の夜は大潮で普段より潮位が高い状況が続いていたことから、大潮による高潮と津波で被害が大きくなったとみられている。
ジャカルタの日本大使館によるとこれまでのところ死傷者の中に日本人が含まれているとの情報はないという。
ジャワ島最西部には海外沿いにリゾート地区もあり、国家災害対策庁では被害の全容把握に全力を挙げているが、今度被害はさらに拡大するものとみられている。
気象当局は余震がある可能性があるとして周辺地域の住民に対し「海岸に近づかないように」「避難した住民は自宅に戻らず、避難場所に留まるように」と呼びかけて、少なくとも25日までは警戒を緩めないようにとしている。