中国とオーストラリアが戦略要衝パプアニューギニア巡り火花 南太平洋の勢力争い
11月15日、戦略的な要衝に位置するパプアニューギニアを巡り、オーストラリアと中国が火花を散らしている。写真は、握手する中国の習近平国家主席(右)とパプアニューギニアのオニール首相を写真を使ったバナー。首都ポートモレスビーで撮影(2018年 ロイター/David Gray)
パプアニューギニアのオニール首相が6月、北部の沖合いに浮かぶマヌス島の港湾整備に中国が資金援助する可能性があると警鐘を鳴らすと、隣国オーストラリアは驚き、すぐさま反応した。
オーストラリアは8月に政権交代があったにもかかわらず、直ちに対抗案を策定したと、政府筋や外交筋はロイターに明らかにした。この島は戦略的な要衝に位置しており、中国軍の艦艇が定期的に寄港する懸念が出ていた。
米国の忠実な同盟国であるオーストラリアは今月、港の整備に資金協力すると発表した。南太平洋で中国が勢力を拡大しようとする中、オーストラリアがこの地域における影響力を改めて主張する動きだと、専門家はみている。
「マヌス島の港はわれわれにとって大きな懸念だった」と、米国の外交筋はロイターに語った。「中国軍の艦艇が港を使用する可能性は大いにあった。オーストラリアが港の再開発に資金提供することになり、われわれも非常に喜んでいる」
中国は第2の支援国
パプアニューギニアは今週、首都ポートモレスビーでアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議を主催する。オーストラリアはこのタイミングに合わせ、これまでの口約束を正式な合意にすべく、準備を進めている。
パプアニューギニアでのAPEC開催は、太平洋地域における自由貿易の重要性を議論する一方、この地域で覇権を争う米国と中国が、影響力を広げるための場ともみられている。
中国は2011年以降、太平洋の島しょ国に13億ドル(約1500億円)規模の低利融資あるいは無償融資を行っており、オーストラリアに次いで2番目に大きな支援国となっている。西側諸国は、太平洋の小国が中国からの過剰な借金に苦しむことになるのではないかと懸念している。