G7外相会合に、中国激しい不快感
広島の平和記念公園を訪れたG7外相 Jonathan Erns-REUTERS
10日と11日に広島で開催されたG7外相会合に関して中国は、「広島を選んだのは戦争責任を帳消しにするためで、日本がG7に力を入れるのは国連安保理常任理事国でないのを補うため」としている。南シナ海問題に関しても強く抗議。
中国はそもそもG7が気に入らない
G7(Group of Seven)は先進7か国「米・英・仏・独・日・イタリヤ・カナダ」により構成されており、中国が入っていない。2013年まではロシアが入っていてG8だったが、ウクライナ問題(クリミヤ半島問題)で外され、今はG7となっている。
中国はそもそも「先進7か国」だけが集まる会合に対して、非常に否定的だ。
中国が入っていないG7は前世紀的存在で意味がないと断言し、重視していない。
日本がG7を重視する理由を国連安保理常任理事国と関連付け
中国は日本がG7会合を重視する理由を、日本が世界先進国の隊列にありながらも、国連安保理(安全保障理事会)常任理事国の誕生の経緯から、日本が常任理事国に入ってないことを埋め合わせるためだと解釈する傾向にある。
国連安保理常任理事国は、「反ファシスト戦争」の戦勝国によって構成され、日本はむしろ安保理常任理事国によって「監視される対象」の国であり、中国は戦勝国として「日本を監視する側」の国であるという位置づけが、中国政府や中国識者の中で共有されている(もちろん戦勝国は当時の「中華民国」であって、現在の中国=中華人民共和国はその「中華民国」の蒋介石・国民政府を倒して、4年後に誕生した国で、国家としての戦勝国ではないが、この「4年間のずれ」という事実は「デリート」している)。
しかしG7ならば「反ファシスト戦勝国」と関係なく、「先進国」という概念でくくられているので、日本はこのG7を、どの国よりも重視しているのだと、中国は見る傾向にある。
広島を開催地にするのは加害者から被害者への「ごまかし」
核のない世界に向けて核兵器不拡散条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons : NPT)に実効性を持たせるためには、被爆した世界唯一の国である日本の広島や長崎の惨状を実際に見てもらうのは非常に重要だと、常識ある人は思うだろう。
しかし中国では思いもかけない論調が巻き起こっている。
それは「広島に関心を集めることによって、被害者の国であることを強調し、加害者の国であった事実を薄めようとする試みだ」とする糾弾である。この視点は中国のネットでは非常に多く見られ、ときにはテレビの時事対談などでも見かけられるものだ。あの戦争は日本が起こしたものであり、「誰がまちがいを犯したのか?」という歴史的事実を捻じ曲げ、後世に正しく教訓を残すことを妨げるという発言が多い。