「増税は労働意欲をそぐ」は金持ちの嘘
2011年2月16日(水)19時10分
「ラッファー曲線」の深すぎる意味
だがラッファー曲線を抜きにこういった議論をすることは不十分だ。ラッファー曲線は政府の税収と税率の関係を示した図で、1974年に経済学者アーサー・ラッファーがディック・チェイニーとドナルド・ラムズフェルドという大物政治家との会食中、紙ナプキンに書き示したものだ。
ラッファーの考え方によれば、政府が望む水準の税収を得るための税率は1つでなく、高い税率と低い税率の2つが存在する。例えば税率が0%なら税収は0ドルだが、税率が100%でも納税者が全く働かなくなるので税収は0ドルになる。1%の税率から得られる税収はきわめて少ないが、99%の税率から得られる税収も同じだ。
この曲線が意味するところは、現在の税率が曲線のどこにあるか分からなければ、増税が税収にどんな影響を与えるかは分からないということ。もし現在の税率が高すぎるなら、さらなる増税は税収減を招きかねない。
経済学者は長年この理論について議論してきたが、現在の税制論議の中ではとくに話題にも上らない。なぜなら「少しでも増税すれば税収が激減してしまうほど今の税率が高すぎる」などと考える経済学者はほとんどいないからだ。
(Slate特約)
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