米連邦地裁、収賄疑惑のNY市長の起訴棄却 政権の「駆け引き」で

米ニューヨークの連邦地裁は2日、収賄罪などに問われたニューヨーク市のエリック・アダムズ市長(64、民主党)の起訴を棄却した。アダムズ氏に不法移民らの取り締まりでの協力を要請しているトランプ政権の指示を受け、司法省が起訴取り下げを求めていた。写真は同市長。ニューヨークで3月撮影(2025年 ロイター/Jeenah Moon)
Luc Cohen
[ニューヨーク 2日 ロイター] - 米ニューヨークの連邦地裁は2日、収賄罪などに問われたニューヨーク市のエリック・アダムズ市長(64、民主党)の起訴を棄却した。アダムズ氏に不法移民らの取り締まりでの協力を要請しているトランプ政権の指示を受け、司法省が起訴取り下げを求めていた。
連邦地裁のデール・ホー判事は2日発表した78ページに及ぶ判決文で、米国の裁判所には検察官に起訴を強制する権限がないため、起訴を棄却するしかないと指摘。不法移民らの取り締まりへの協力に支障をきたしているため訴えを取り下げるべきだというトランプ政権の主張については「移民政策の譲歩と引き換えに起訴を棄却するという駆け引きのにおいがする」と批判した。
その上で、棄却はアダムズ氏が無実か有罪かを判断した結果ではないと強調した。
アダムズ氏はこれまでに、バイデン前政権(民主党)時代に移民が急増したことを批判した報復で起訴されたと主張。今年11月の市長選で再選を目指しており、トランプ政権の支持を得ている。
しかし、ニューヨーク市民の間ではアダムズ氏の不人気ぶりが鮮明になっており、アダムズ氏の打倒を目指す民主党候補の座をアンドリュー・クオモ前ニューヨーク州知事らが争っている。
キニピアック大が3月5日に発表したニューヨーク市在住の有権者への世論調査によると、アダムズ氏の仕事ぶりを評価したのはわずか5人に1人で、56%が辞任すべきだと考えを示した。
アダムズ氏は自身が何も悪いことをしておらず、そもそも起訴すべきではなかったと主張して「わが市がようやく本件に終止符を打ち、未来だけに集中できることをうれしく思っている」とコメントした。
バイデン前政権下の昨年9月に起訴されたアダムズ氏は、駐ニューヨークのトルコ総領事館の開設について安全上の懸念があったにもかかわらず消防当局に圧力をかけるなどの便宜を図り、代わりにトルコ当局者から賄賂や違法な選挙献金を受け取ったとされる。
トランプ政権下の今年2月に司法省は起訴に関し、トランプ氏が進めている不法移民らの強制送還強化に協力することを妨げる要因になっているとして棄却を求めた。検察は政治的な思惑に左右されずに判断できるという長年の規範に違反しているとの反発が高まり、連邦検察官8人が抗議して辞任する事態となった。