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Surviving The Trump Era
「少なくとも10年の禁固刑は覚悟すべき」「大谷はカネを取り戻せない」――水原一平の罪状認否を前に米大学教授が厳しい予測
大谷は親友だと思っていた通訳(当時)の水原に裏切られた ROB LEITER―MLB PHOTOS/GETTY IMAGES
<罪状認否を現地時間14日に控え、司法取引に応じた水原容疑者。とはいえ水原が有罪を認めても大谷翔平が取り戻すことができないこれだけのもの>
MLB(米大リーグ)のスーパースター、大谷翔平の元通訳水原一平は、親しい友人であり雇い主でもあった大谷から1600万ドルを盗んだ容疑で訴追され、人生の最も大切な時期の大半を刑務所で過ごす可能性が高くなった。
罪状は大規模な銀行詐欺。最高で禁錮30年の重罪だ。
ギャンブル依存症だった水原は、負け分を取り返そうと無理な賭けを繰り返し、最後には万策尽きたようだ。裁判資料によると、水原は1万9000回の賭け(1回平均1万3000ドル近く)で1億4200万ドル勝ち、1億8200万ドル負けて4000万ドル以上を失った。
情報筋によれば、水原は裁判所からできるだけ寛大な処分を受けられるように、有罪を認める意思を即座に示したという。
アメリカの裁判所は迅速に罪を認め、時間と資源を節約する犯罪者を優遇する。当局との司法取引(大規模な違法賭博ビジネス摘発につながる重要情報を提供した可能性が高い)を考えても、水原が禁錮30年を言い渡される可能性は低い。それでも、少なくとも10年は覚悟すべきだろう。
最終的に不正送金は大谷の口座ではなく、水原の個人口座から振り込まれたとみられる。その前提で考えると、大谷が盗まれた金を取り戻すのは難しいだろう。水原の賭け金が大谷から盗んだものだったという事実をブックメーカー(賭けの胴元)が知っていたことを証明しなければならないからだ。もし知らなかったのであれば、ブックメーカーに対する法的請求権は発生しない。
ブックメーカー側は大谷を「主犯」に?
金を取り戻すもう1つの方法は銀行の過失責任を追及することだ。こんなことになった責任は銀行のいいかげんなシステムにあると主張するのだ。
報道によれば、水原は大谷の口座情報を変更して、ファイナンシャル・アドバイザーや会計事務所がアクセスできないようにしていた。さらに水原が大谷に成り済ましたことを示す音声の録音とされるものが銀行側に残っているという。
それでも水原が大谷本人から口座管理を任されていた可能性が高いことを考えると、法廷で銀行の過失を主張しても説得力に欠けるだろう。水原の年俸は約50万ドルだったようだ。損失の大きさと、それが1人のブックメーカーに集中していたことを考えると、このブックメーカーが水原の支払い能力を過信していたと主張しても説得力に欠ける。
水原は大谷の口座に自由にアクセスできるとブックメーカーに明言したのか。それとも、自分は大谷本人のギャンブルの単なる仲介者だと伝えたのか(現在では、この主張は虚偽とされている)。そもそも立証は困難だが、もし賭け金は大谷の口座から盗まれたものだとブックメーカーが知っていたかどうかを法廷で争ったらどうなるか。
ブックメーカー側の弁護人が採用する戦略は、大谷をギャンブルの「主犯」として指弾するか、年俸の何倍ものギャンブルを他人に許す愚か者と主張するかのどちらかだろう。
大谷にとって、この種のチキンゲームは得策ではないかもしれない。本当は大谷本人の賭博だったという主張が法廷で展開されるリスクをあえて冒す必要はない。たとえ最終的にこの主張の虚偽が証明されたとしても、かなりの数のファンが大谷は水原を身代わりにしたと判断するはずだ。
そう考えると、大谷にとって金を取り戻すことは最優先事項ではないかもしれない。口座から盗まれた金額は、大谷がキャリアを通じて手にするとされる20億ドルもの年俸やスポンサー料に比べればわずかな損失にすぎない。
たとえそれを取り戻せたとしても、親友だと思っていた人物に裏切られた心の痛みを思い起こさせるだけだろう。
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