アメリカが離脱してロシアが立候補する国連「人権」理事会って何?
ロシアは2016年、シリアのアサド政権支援によって理事国の座を失っていた。そのロシアが人権理事会に復帰すれば、イランやキューバなどの人権状況に関する議論で、アメリカの方針とのギャップが、これまで以上に大きくなるとみられる。その場合、少なくとも人権理事会のメンバーであるロシアの主張は、「外野」であるアメリカの主張より、国際的な手続きにのっとったものとなる。
こうしてみたとき、アメリカの人権理事会の離脱は、親米、反米を問わず、人権状況に問題がある国の政府にとって、少なからず朗報となる。もちろん、そのしわ寄せを受けるのは、世界中で深刻な人権侵害に直面している人々である。
筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。他に論文多数。
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