コラム

岐阜県の盗撮疑惑事件で垣間見えた、外国人技能実習制度の闇

2018年02月14日(水)19時00分

家畜のような扱いを受ける女性たち。人権という言葉はどこに消えたのだろうか。

13日になって事態はようやく動きを見せた。私が自分のSNSを通じてこの事件のことを訴えたところ、中国メディアの澎湃新聞が取材し記事にしたのだ。

これまで事件を無視していた会社、仲介機関、駐名古屋中国総領事館は一気に態度を変えた。女性たちに会おうとしなかった社長は、すぐに顔を見せ、会社はすぐさま警察に被害届を提出した(そして「建造物侵入罪」として受理された)。

だが、事件の発覚から間もなく1週間がたとうとしている。彼らが態度を変えたのは女性たちのことを思ってのことだろうか。それとも報道によって大騒ぎになると予感し、自分たちの身を守るために重い腰を上げたのだろうか。

日本は今、外国人労働者の力を必要としている。技能実習生という「建て前」で労働移民を受け入れること、そのこと自体にも問題はあるが、もし受け入れるのであれば、誰かが親身になって彼らを守らなければならないはずだ。

私、李小牧がヒーローとして登場するのは今回が最後になることを祈っている。

*本稿執筆にあたり、技能実習生が所属する岐阜県大垣市の企業に電話取材を行ったが、期日までに回答を得られなかった。

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プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

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