コラム

いま、日本株は「大バーゲン」。藤野英人が「ムズムズする」と語る理由

2023年02月28日(火)18時43分

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「お金のまなびば!」より

投資の本を100冊読むよりも大切なこと

「海外の投資家から見ると、日本株は大バーゲンになっている」と力強く語る三宅氏。一方、成長している会社の株価があまりに安すぎる状態に、投資歴30年の藤野氏は「ムズムズする」と興奮を隠せない様子。

「今の株式市場をパーティー会場に例えると、ごちそうがいっぱいあるのに誰もいない状態。アナリストとして、日本中の企業へ調査に行きたい衝動に駆られている」

そう語る藤野氏だが、「生活が不安定であったり、心が乱れたりしているときに新しいことを始めないほうがよい」とも助言する。心身ともに健やかな状態でいることを前提に、藤野氏は投資を始める3つの原則として「小さく」「ゆっくり」「長く」を掲げている。

「貯金を全額投資に回そうとする極端な人が多い。まずは手に汗をかかない程度の金額で、『小さく』『ゆっくり』始めることが肝心。それから、博打のように一気にかけるのではなく、半年や1年、5年など、中長期的な時間軸の中で行うのがオススメだ」

若ければ若いほど時間が味方になってくれるので、少額でもいいので早くに始めたほうがよいとのこと。

こうした新しいことにチャレンジするときの姿勢は、恋愛にたとえることができる。恋愛指南書をいくら読んだところで気になる相手に声をかけることができなければ何も始まらない、と藤野氏は続ける。

「何事も実践が大事。投資の本を100冊読むより、少額でも身銭を切ってまずやってみる と学ぶものは大きい」

例えば新しい趣味を始めようとして、上級者の動画を観て「自分には無理だ」と諦めたり、いきなり高スペックな道具を買ったものの使いこなせずタンスの肥やしになったりした経験を持つ人は多いだろう。

投資に限らず、仕事や趣味も「小さく」「ゆっくり」「長く」が長続きの秘訣。知識や理論が先走りがちな人、焦ってすぐに結果を追い求める人は、このキーワードを頭の片隅に置いておこう。


構成・酒井理恵

●YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)など。

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