コラム

藤井聡太さん、100万円あったら何に使いますか?

2022年06月30日(木)16時15分
藤井聡太

藤井聡太叡王 「お金のまなびば!」より

<将棋界の若きスター・藤井聡太叡王。年収は1億を超えるとも噂される彼は、お金についてどう考えているのか。ひふみシリーズの最高投資責任者、藤野英人氏が切り込む>

14歳2カ月でプロデビュー後、瞬く間に公式戦最多連勝記録を樹立した将棋棋士・藤井聡太氏。数多くの最年少記録を塗り替え、現在は叡王を含め五冠のタイトルを保持する19歳だ。

ひふみシリーズの最高投資責任者、藤野英人氏がかねてから話したかった憧れの人物で、「藤井さんは最も尊敬する人の一人」といつになく緊張した様子を見せるのはYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」の対談でのこと。

年の差36歳、将棋界と金融業界の第一線で活躍する二人の対談がここに実現した。

将棋における活躍は誰もが知るところだが、気になるのは藤井叡王がお金に対してどんな価値観を持っているかというところ。そこで藤野氏はまず「100万円があったら何に使う?」と尋ねた。

これに対し、藤井叡王は「以前将棋用のパソコンを自作したとき、パーツの合計が100万円くらいだった。またパソコンを作るかもしれません」と回答。

今やほとんどの棋士が将棋ソフトを用いて研究しており、なかでも藤井叡王が使用するパソコンの性能は群を抜くともっぱらの評判だ。だが、パソコンのパーツは値動きが激しく、自分が買った直後に値下がりして「しまった」と思うことも多いそうだ。

将棋以外でほとんどお金を使うことはないようで、自販機で飲み物を買うときは「贅沢した」と感じると話す藤井叡王。なんとも微笑ましい等身大の答えに、藤野氏も思わず笑みがこぼれる。

そんな藤井叡王にとって、勝負に勝ってお金を稼ぐことはどんな意味があるのかと藤野氏が尋ねると、「棋士として当然お金のことも意識しますが、お金を実態のあるものとして捉えづらいところはあるかもしれません」との答えが返ってきた。

華々しい活躍とは対照的ともいえる無欲な言葉。謙虚で実直な人柄も、藤井叡王が将棋ファンから愛される理由なのだろう。

fujino20220630fujii-1-2.jpg

「お金のまなびば!」より

「観る将」が増えてきた将棋界、藤井叡王は...

続いて話は、藤井叡王の対局中の戦略やルーティン、「頭の中」へと展開した。将棋ファンならずとも気になるところだろう。

「局面を見たときにパッとひらめく第一感が2~3通りあるので、基本的には最初に浮かんだ手を比較していく。比較するには客観的な判断材料が必要になるので、局面で何が大事なことなのかを意識し、読み筋に添って比較するのが基本的な考え方」

と語る藤井叡王。

相手の表情や仕草などはあまり見ないが、自分の表情を相手に見られないように気を付けているそうだ。

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story