コラム

人工知能が加速させるボイス革命

2016年06月06日(月)17時00分

German-iStock.

<テクノロジー界の次の覇権争いが始まった。狙うのは音声技術の市場。キーボードやスマートホンより速くて容易な入力技術として期待を集める。音声の認識率も、AIのおかげで数年前の70%から現在の90%に向上。これが99%に達すれば、世界が一変すると言われている>

 米シリコンバレー関係者が大注目するMeekerリポートが今年も発表された。Meekerリポートとは、シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタルKleiner Perkins Caufield Byersに所属するベンチャーキャピタリストMary Meeker氏が毎年発表している「インターネット・トレンド」と呼ばれる調査報告書のこと。詳細なデータをベースに行う未来予測として、最近では米国の産業界全体で注目されるほど評価が高くなってきている報告書だ。

 今年の報告書の中で同氏は、特に機械と人間の接点部分である「インターフェース」領域で2つの技術分野に注目し、詳細なデータで近未来を予測をしている。その2つとは音声と自動走行車だ。

 音声技術に関しては、2ヶ月前にこの連載コラムで取り上げ、少々フライング気味ではあるものの、その覇権争いの行方まで大胆予測した。(次のキーテクノロジーは音声、次の覇者はAmazon

 今回音声技術がMeekerリポートに取り上げられたことで、音声技術に対する産業界の注目はさらに高まることになりそうだ。

 そこで今回のコラムでは、1)Meekerリポートが音声技術をどのように取り上げているのか、2)4月のコラム執筆の時点から今までの2カ月間でどのような動きがあったのか、について報告したい。

iPhoneは山を超えた。次はAmazonの時代

 今回のMeekerリポートは、音声認識に関しては「人間とコンピューターのインタラクションの新たなパラダイムとして音声を考える」と題し約20枚のスライドで詳細に解説している。

 それによると、音声認識技術はここ数年で性能が格段に向上しており、Googleの音声認識技術の認識率を見ても2010年には70%だったのが2016年には90%にまでなっているという。

【参考記事】グーグルの通訳フォンに重大な疑問

 性能の向上に伴い利用する人も増えているようで、米国で音声アシスタントを利用するユーザーの割合が2013年には30%だったのが、2015年には65%に伸びている。

 確かに私自身の感覚としても、iPhoneのsiriやGoogleNowの音声認識率はここ数年でかなり性能がアップしている。なのでLINEのやりとりも、最近はキーボードで入力するよりも音声で入力することのほうが増えてきている。

 同リポートによると米国での音声認識技術の利用シーンとしては、「家庭内」と答えた人が最も多く43%で、次いで「自動車の中」が36%だった。以前のコラムでも取り上げたAmazonのスピーカー型バーチャルアシスタントのEchoは、その家庭内のニーズにうまく応えたことで大ヒットしているわけだ。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ハンガリー関係は「黄金時代」とルビオ氏、選挙控え

ビジネス

独VW、28年末までにコスト20%削減を計画=独誌

ワールド

英首相、国防費増額の加速必要 3%目標前倒し検討と

ワールド

ロシア、和平協議で領土問題含む主要議題協議へ=大統
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story