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元Googleの大物研究者がリクルートのAI研究トップに就任する意味
確かにリクルートは、人材紹介を始め、グルメ、ウエディング、旅行、住宅など、ありとあらゆる領域のユーザー行動データを持っている。Googleでさえ持っていないデータを山のように持っている。AIを使って行動データを解析したい研究者にとっては、リクルートが宝の山のように見えるのかもしれない。
カーネギーメロン大学のTom Mitchell教授も「リクルートはすごくいい立ち位置にいる」と絶賛する。「機械学習にうってつけのデータを大量に持っている。これらのデータを使ってレコメンデーションやマッチングを大きく進化させることが可能。AIでユーザーの幸福に大きなメリットを提供できるだろう」と語っている。
Halevy氏も、リクルートの持つデータに魅了されたのだろうか。取材する機会があれば、ぜひ聞いてみたいと思う。
研究成果を本業に反映できるか
Halevy氏をトップに起用することに成功したことで、リクルートのAI研究所が世界のトップレベルと肩を並べる研究所になる道筋はできた。5人のアドバイザーの顔ぶれもすばらしいし、若手研究者の採用も問題なく進むのではないかと思われる。
企業のAI研究所としては、Google、Facebook、Amazon、Microsoft、それにバイドゥが有力視されている。他社とは異なるタイプのデータをリクルートが持っていることもあり、リクルートのAI研究所は、企業によるAI研究の重要な一角を占めるようになるかもしれない。
しかし重要なのは、リクルートのAI研究所がリクルート本体とどれだけ密接に連携できるか、ということだ。
研究所がどれだけ画期的な研究成果を出したとしても、それがリクルートの事業に反映されないのであれば意味がない。日本とシリコンバレーという物理的、文化的な距離、言語の壁を乗り越えることができるかどうかが課題だと思う。
その点、Halevy氏は、10年間のGoogle研究所勤務で、研究所と本社の協業の仕方については十分に経験があるようだ。同氏のブログ記事を読むと、大学の研究所と企業の研究所では研究の仕方や目的がまったく異なることや、本社の従業員との密なコミュニケーションが重要であるというような指摘があった。Halevy氏がトップなら、研究所はリクルートの事業部門に寄り添った形で研究を続けることだろうと思う。
ただHalevy氏がこれまで寄り添ってきたのはGoogleだ。世界で最もAIを重要視している企業だ。直近の決算発表でもGoogleのCEOのSundar Pichai氏は、AIが同社の最重要テーマで「すべての製品にAIを投入すべく、すべての製品を一から再構築する過程にある」と明言している。
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