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ホワイト企業の価値って何? ホワイト企業だからって銀行融資の審査は甘くならない
「ホワイト企業」は「ブラック企業」を敵対視する専門家が感情的に作った造語にすぎない Avosb-iStock
<就職活動のゴールを「ホワイト企業」にしている学生が多いが、人生を誤りかねない勘違いだ。目指すなら、ホワイトより「優良」企業だ>
「ホワイト企業じゃなくて、優良企業への就職を考えたら?」
と、ある就活生に私がアドバイスしたところ、混乱しているようでしたので、
「就活生はホワイト企業って言葉を使うかもしれないけど、社会人になったら、誰も使わないこと知ってる?」
と質問してみました。すると、その就活生は、さらに驚いていたのです。やはり、そうか──。
「世間知らず、と言われないように、もう少し経営のこと、ビジネスのことを勉強してから、社会に出ようね」
ホワイト企業は就活生が使う言葉
「ホワイト企業」という言葉が、お茶の間に浸透してずいぶんと経つ。若者の定着率が高く(離職率が低く)、やりがいを感じられるような職場、ワークライフバランスが整っている企業を「ホワイト企業」と呼ぶようです。
とはいえ、この言葉に違和感を覚える人はとても多い。とくに、経営というものをよく知っている人ほど、この言葉は使いません。
そもそも、若者の定着率が高く、ワークライフバランスが整っている職場だからといって、銀行融資の基準が甘くなると思いますか? なりません。
その理由を説明できないと、ホワイト企業に就職したいという就活生は「世間知らず」と言われることになります。転職エージェントや報道に振り回されないように、少しは経営の勉強をしましょう。
「ホワイト企業」とは何なのか? 改めて考える
恒常的に長時間労働を課し、とくに若者の離職率が高い企業を「ブラック企業」と呼びます。その存在を問題視した政府が対策に乗り出したことで「ブラック企業」という名称はずい分と世間に広まりました。
このブラック企業という言葉に、違和感はありません。ブラック企業は淘汰されるべきです。
ただ、バレンタインデーのお返しにホワイトデーがあるのと同様に、ブラック企業と対極の存在を「ホワイト企業」と呼ぶのは、いかがなものか。「ブラック」もあれば「ホワイト」もある、というように、何でもかんでも言葉を反転させて定義づければいいってもんじゃありません。
最初この言葉が出てきたとき、就活生を迷わすだけだから、テキトーな言葉遊びはやめろ。と思っていたのですが、まさかここまで定着するとは想像もしていませんでした。
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