コラム

働き方改革に不可欠な「空気革命」のやり方

2018年11月29日(木)08時00分

しかし「ダブルスタンダード」がすべて良くないか、というとそうではありません。

たとえば「名目スタンダード」が「朝の出勤時間は9時」であっても、「実質スタンダード」が「気持ちよく仕事をするため9時より30分前に出勤して身の回りやお店の掃除をするのが当たり前」だと、これも二重規範。ダブルスタンダードがまかり通っている組織、ということになります。しかし、誰かが強要したわけではなく、スタッフが率先して30分前に出勤し、みんな笑顔で朝の掃除をしていたらどうでしょうか。気持ちの良い職場、問題意識の高い組織、と表現してもいいはずです。

異なるのは「実質スタンダード」が、中長期的な視点において、組織にも個人にも正しい利益をもたらすかどうかです(利益は金銭的なものだけに限定しません)。

ブラック企業のように、スタッフに長時間労働を強いることで企業に利益をもたらせても、個人の健康を害するような働き方が良い「空気」を作り上げることはない。反対に、スタッフが目先のことだけを考え、ラクをしたい、面倒なことはしたくないという価値観が広まっているケースでも同じです。片方の都合のみが反映された「実質スタンダード」がネガティブな空気を作り上げてしまうのです。

良い空気の組織に良い人材が集まる

それでは、さらに理解を深めてもらうため、ネガティブな「実質スタンダード」とポジティブな「実質スタンダード」の例を書き出してみましょう。

<<ネガティブな「実質スタンダード」の例>>
●「会社から目標を言い渡されているが、経営者でさえその目標を達成できないと考えている」
●「残業を短くと言われても、残業が長いほうが評価される」
●「大きな声で挨拶しろとは言われているが、目立ちすぎると白い目で見られる」
●「目標管理制度はあるけれど、実際にはそんなことで部下を評価したことがない」

ネガティブな「実質スタンダード」は、「名目スタンダード」よりもレベルが低く、「こう言われてはいるが、実際は違う」というものばかりです。真面目な人ほど「実質スタンダード」を否定的にとらえます。「名目スタンダードは理想であって、現実的には実質スタンダードにならざるを得ない」という諦めの気持ちも入り混じります。

こういう組織は、「1+1<2」で表現できます。個人のポテンシャル以下の実力しか発揮できない組織、ということです。それでは、ポジティブな「実質スタンダード」とはどんなものでしょうか。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は3日続伸、5万円回復 米利下げ期待などが

ワールド

NZ補給艦、今月台湾海峡を通過 中国軍が追跡・模擬

ワールド

香港高層住宅群で大規模火災、44人死亡・279人不

ビジネス

注意深く適切に、遅すぎず早すぎずやらなければならな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story