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働き方改革に不可欠な「空気革命」のやり方
しかし「ダブルスタンダード」がすべて良くないか、というとそうではありません。
たとえば「名目スタンダード」が「朝の出勤時間は9時」であっても、「実質スタンダード」が「気持ちよく仕事をするため9時より30分前に出勤して身の回りやお店の掃除をするのが当たり前」だと、これも二重規範。ダブルスタンダードがまかり通っている組織、ということになります。しかし、誰かが強要したわけではなく、スタッフが率先して30分前に出勤し、みんな笑顔で朝の掃除をしていたらどうでしょうか。気持ちの良い職場、問題意識の高い組織、と表現してもいいはずです。
異なるのは「実質スタンダード」が、中長期的な視点において、組織にも個人にも正しい利益をもたらすかどうかです(利益は金銭的なものだけに限定しません)。
ブラック企業のように、スタッフに長時間労働を強いることで企業に利益をもたらせても、個人の健康を害するような働き方が良い「空気」を作り上げることはない。反対に、スタッフが目先のことだけを考え、ラクをしたい、面倒なことはしたくないという価値観が広まっているケースでも同じです。片方の都合のみが反映された「実質スタンダード」がネガティブな空気を作り上げてしまうのです。
良い空気の組織に良い人材が集まる
それでは、さらに理解を深めてもらうため、ネガティブな「実質スタンダード」とポジティブな「実質スタンダード」の例を書き出してみましょう。
<<ネガティブな「実質スタンダード」の例>>
●「会社から目標を言い渡されているが、経営者でさえその目標を達成できないと考えている」
●「残業を短くと言われても、残業が長いほうが評価される」
●「大きな声で挨拶しろとは言われているが、目立ちすぎると白い目で見られる」
●「目標管理制度はあるけれど、実際にはそんなことで部下を評価したことがない」
ネガティブな「実質スタンダード」は、「名目スタンダード」よりもレベルが低く、「こう言われてはいるが、実際は違う」というものばかりです。真面目な人ほど「実質スタンダード」を否定的にとらえます。「名目スタンダードは理想であって、現実的には実質スタンダードにならざるを得ない」という諦めの気持ちも入り混じります。
こういう組織は、「1+1<2」で表現できます。個人のポテンシャル以下の実力しか発揮できない組織、ということです。それでは、ポジティブな「実質スタンダード」とはどんなものでしょうか。
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