コラム

日本の「働き方改革」が、若者たちの「未来」に影を落とす?

2018年05月28日(月)16時00分

どんなに運動神経がよくても、一度もスキーをやったことがない人がすぐ滑れることがないのと同じ。心や体が、新しい作業や環境に慣れて肩の力が抜けるまでは、それなりの時間を充当することが賢明です。

そのためには、生産性を考えず、慣れるべき作業に長時間費やしてもいい環境をまず確保することです。

「わかる」と「できる」は違います。何度も何度も大きな声で挨拶する練習をするから、体が覚えるのです。繰り返し見積書を作成するから、資料作りのコツを覚えるのです。一度にいろいろなものを覚えようとせず、どんな小さな作業も「できる」まで長時間労働することが大事です。

(繰り返しますが、長時間労働=長時間勤務ではありません)

ベテラン社員が成果を出すのに6時間かかったのに対し、若手社員はその3倍の18時間が必要なときもあるでしょう。理由は、スキルや知識、習慣といった「資産」がまだ足りないからです。創意工夫したり試行錯誤するための時間という「資産」をじゅうぶんに蓄積する必要があり、それを減らせば、投入すべき資産の総量が足りなくなって、期待通りの付加価値を出せなくなるのです。

ですから、若者に対しては始めから「生産性」「効率化」を唱えないことです。最近は仕事に「やりがい」を求める若者が増えています。「やりがい」のある仕事を、短時間でマスターできることなどありません。とくにクリエイティビティの高い仕事には、必ず試行錯誤がつきもの。

つまり付加価値の高い「やりがい」のある仕事をしたければ、そこに投入すべき資産(スキルや知識、時間)を多く求められる、ということです。

高度情報化時代となり、どんなに優れたノウハウや仕組みを手に入れられるようになっても、苦労せずに(少ない資産で)何かを成し遂げられることはありません。

以前は一合目から登った富士山を、最近は四合目から登れるようになった、ぐらいのことです。たいした知識もなく、訓練もせず、中途半端な装備で頂上まで到達するほど、正しい成果を出すまでの道のりは甘くありません。

「あたりまえの基準」とは?

長年、絶対達成のコンサルタントをしていて思うことがあります。それは、どんな時代になっても、変わらず目標を達成させる人は「あたりまえの基準」が高い人である、ということです。そのような人は、目標を達成させることが「あたりまえ」だと受け止めているので、他責にすることなく自分のチカラでどんな事態をも打開していきます。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story