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日本学術会議問題を「総合的俯瞰的に」考察して浮かび上がった、菅総理の驕り
自衛街の航空観閲式に出席した菅首相(11月28日) David Mareuil/REUTERS
<このコラムは、「構造と文脈」の技術で複雑な情報を読み解く「コンテクスター」の筆者が、時事ニュースの真相に迫るものです>
<なんで、いま、みんな日本学術会議に関心を持っているの? 新政権のツッコミどころだからというだけでしょう> - 社会学者の西田亮介・東京工業大准教授(37)のツイート
このツイートに象徴されるように新型コロナ対策やオリンピックの開催の可否等に比べて、この件は多くの国民にとってどうでも良い話かもしれない。
当事者ですら、会員の活動は研究者としては負担であり、任命されなかったらそれはそれで負担軽減されるので良いと言っている。また個別の研究者として学問の自由が特に侵される訳でもない。
また発生後、1ヶ月以上経過し、識者の争点も概ね語り尽くされた感もある。
但し、企業活動でも家庭でも、こういう一見些細に見える事柄に大きな構造上の問題が潜んでいる事がよくある。一部門の一組織の小さな人事、ちょっとした家事や家族イベントの考え方に、端的にその組織や当事者の闇を象徴する時がある。
複雑化する世の中をシンプルに理解する為の事象の構造化と文脈解釈の手法に則って本件が何故、戦後日本を象徴する事象であるのか、まずは「事象の構造」について考察したい。
I. 気づき、素朴な違和感
まずは、構造化のスタート、気づき、素朴な違和感を考えるところから始めると、
・100兆円国家予算の10万分の1、10億円の小さな予算の組織の公務員人事について行政トップの任命権者(首相)が一部の任命を拒否したという事案。これが何故、政権支持率にまで大きく影響するのか?
・日本学術会議、会員が言うようにそれほど日本の科学政策を担う重要な組織なら何故ほとんどの国民がその存在すら知らなかったのか?
の2点に尽きる。
II. 抽象化(潜む本質的なキーワードは何か)
政治家と学者
さらには、この対立問題の底流に潜む構造的なキーワード何か。
一つは明らかに、「政治家」と「学者」との本質的な立場の違いによる対立構造だ。
学者は、真理を探求する立場であり、往々にして思想や信条は国境を超えて連帯していく。また論理思考・批判的思考に基づいてあるべき論に徹底的に拘る。
一方、政治家は、国の安全保障等、国民の生命・財産・権利を守るのが本分だ。民主主義においては、選挙によって選ばれることから、本来国民世論の関心・要望には敏感であり、またそうあるべきだ。
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