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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

ドイツワインのDNA「テロワール」を学ぶ旅 (1) ミッテルライン

ワイナリー「ランブリッヒ」

ワイナリー「ランブリッヒ」は、歴史的な城や宮殿、ライン渓谷中流上部に位置するのどかな風景のユニークな眺めが目の前に広がる急勾配にブドウ畑6ヘクタールを持ちます。

急斜面のワイン畑に栽培されている約3万本のブドウの木は、ライン・スレート山脈の100万年前の岩に深く根を下ろしています。このテロワールが、独特のミネラル感や個性を持つワインを生み出しているそうです。

両親と息子マキシミリアンさんと娘ユリアさんの4人が情熱を持ってワイン造りに取り組んでいます。ワイナリーの中心は家族であり、仕事の基盤だといいます。

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現在ワイン造りの中心となって活動する4代目マキシミリアンさんとユリアさん。

マキシミリアンさんは、ガイゼンハイム大学でブドウ栽培と醸造学を学んで知識を深め、現在セラーマスターとして、収穫から瓶詰めまで、父と共にワイン造りに携わっています。

フランクフルト近郊にあるガイゼンハイム大学は、 世界的に有名なワイン専門の大学。ブドウ栽培学や醸造学などの専門教育機関でブドウ品種とワインの研究所も有します。

ユリアさんはガイゼンハイム大学で国際ワインビジネスを学び、マーケティングとセールスを担当しています。「冷涼な気候と粘板岩の土壌はリースリングにとって理想的です」と、教えてくれました。

ミッテルラインのワイン女王ユリアさんは現在、チームとともに地域の代表としても活動しています。ランブリヒワイナリーのワイン・フェスティバル、見本市、テイスティング、ワイン・ツアーの企画、チラシや広告物のデザインも手がけるそうです。

newsweekjp_20240811085904.jpg試飲した中で、特に印象に残ったのは、シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)辛口2022年。個人的に、夏は白、冬は赤ワインを飲むことが多いのですが、このワインは ベルベットのように軽く、チェリーのほのかな香り漂うさわやかな味で、暑い季節にも気軽に飲めそうです。テロワールと生産者の思いが見事にマッチした逸品で、10ユーロ以下と本当にお買い得なワインです。

どのワインにするか迷ったら、先ずはリースリング。安定した味で飲み心地の良いワインはリースリング産地ならば、どのワイナリーでもはずれはありません。試飲した2021年リースリング辛口はさっぱりした味でおすすめのワイン。

ワイナリー「ペルシュ」 

ライン川ののどかな渓谷にあるペルシュワイナリーとゲストハウス「ゼンナーホフ」は、ブドウ畑の真向かいの素晴らしく静かな場所に位置しています。世界遺産のライン渓谷中流域に位置し、コブレンツから約40km、ローレライからわずか12kmと、観光にもアクセスしやすい場所にあります。

newsweekjp_20240811085658.jpgローレライ渓谷で200年以上ブドウを栽培しており、現在8代目のヴィンフリートさん(画像上)が経営を手がけています。ブドウ畑は、急斜面にある4.5ヘクタール。木樽で熟成させたワインを生産しています。約80%がリースリング、その他にピノ・グリ、ピノ・ブラン、シェーンブルガー、ピノ・ノワール。

同ワイナリーで特記したいのはシェーンブルガー種ワイン。この品種はガイゼンハイムの研究センターによって育成されたブドウ種で、1000年の歴史を持つオーバーヴェーゼルのシェーンブルク城にちなんで名付けられたそうです。

収穫時期は9月末で、シェーンブルクのブドウがピンク色になる頃。ブドウは手摘みで収穫されます。ワインは白で酸味が少なく、ワイン熟成中に生まれる様々な香りは強調され、繊細な果実味からスパイシーさが特徴です。

ブドウ畑は旧製粉所跡地...

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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